2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440256
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (00177750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 洋之 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (20335243)
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Keywords | 種間交雑 / ニホンザル / タイワンザル / アカゲザル / チャイロキツネザル / ミトコンドリア遺伝子 / TSPY遺伝子 / 種判別 |
Research Abstract |
和歌山県、青森県、千葉県、静岡県、東京都に導入されているマカカ属外来種の生息実態および遺伝的特性について、調査をおこなった。和歌山県ではタイワンザル交雑群の生息状況を調査し、2年前の結果と比較した。また、導入地域からのオスの拡散をモニターする方法として、Y染色体上のTSPY遺伝子多型を種判別標識として利用するシステムを確立した。これを利用して、隣県地域を調査した結果、オスの拡散が広域には及んでいないとの結果を得た。一方、和歌山県内では、有田川以南の金屋町で捕殺された個体の遺伝子調査により、ニホンザルとの境界領域付近まで交雑個体のオスが進出していることを確認した。青森県下北半島、静岡県大根島、東京都伊豆大島に導入されたタイワンザルについては、糞から抽出したDNAによりミトコンドリア遺伝子が各地点に特異なタイプであることを確認し、今後の集団調査の基礎を固めることができた。伊豆大島タイワンザル群には2種類のミトコンドリア遺伝子タイプが検出され、これらは群分裂を介した島内の生息域拡大をモニターする道具として利用できることが明らかになった。さらに、千葉県房総半島の白浜町に生息する外来種群については、ミトコンドリア遺伝子分析による種判別から、当該種がアカゲザルであるとの証拠を得た。 国外の霊長類については、マダガスカルにおけるチャイロキツネザルの亜種交雑について現地調査と遺伝子分析をおこなった。ミトコンドリア遺伝子では明瞭に2亜種が区別でき、核型分析の結果と総合すると、調査地でかなり亜種交雑が進行しているとの証拠を得た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 川本 芳: "和歌山県におけるニホンザルとタイワンザルの交雑に関する遺伝学的分析"霊長類研究. 17巻・1号. 13-24 (2001)
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[Publications] 川本 芳: "ニホンザルのミトコンドリア遺伝子変異の地理的分布"霊長類研究. 17巻・2号. 144 (2001)
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[Publications] 川本 芳: "遺伝子研究とフィールドワーク"エコソフィア. 8巻. 46-53 (2001)