2002 Fiscal Year Annual Research Report
導電性高分子と分子ナノチューブからなる分子被覆導線の電気物性
Project/Area Number |
13450008
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
伊藤 耕三 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (00232439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 武史 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (40292768)
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Keywords | 導電性高分子 / 分子素子 / 分子被覆導線 / 分子導線 / 超分子 / 包接錯体 / 原子間力顕微鏡 / ナノテクノロジー |
Research Abstract |
我々は、最近絶縁性の環状分子であるシクロデキストリンから合成されたチューブ状分子、分子ナノチューブを代表的な可溶性導電性高分子であるポリアニリン(PANI)と溶液中で混合したところ、紐状の導電性高分子がチューブ状分子の空洞内に自発的に潜り込んだ超分子構造体いわば分子被覆導線が形成される現象を見出した。本研究では、この分子被覆導線を基板上の外部インターフェイス電極間に配し、外部インターフェイス電極間の電気特性の測定を行い、分子被覆導線の電気的特性を評価することを目指した。 数100nm間隔で電極を引くことは通常の光リソグラフィーでは不可能であるので、前年度より引き続きAFMリソグラフィーを用いてSiO_2またはアルミナ上に貴金属の4端子電極をもつ導電率測定用基板(電極間距離150nm程度)の作製を行い、より高精度に歩留まりよく基板を作製する技術を確立した。4端子間の電気抵抗が10TΩ以上と絶縁性に優れ、基準物質としたカーボンナノチューブを用いたテスト測定でも導電率測定用基板としてきわめて良好な電気特性を示した。また、4端子基板の上に分子被覆導線を載せることにも成功し、未ドープ状態での分子被覆導線の導電率測定を世界で初めて実現した。作製した基板は下地にSiO_2を、電極に貴金属を用いているため、耐腐食性に優れ、基板上において導電性高分子をヨウ素やプロトン酸などの酸化剤でドーピングする際にも適用可能であった。このため、ドーピングされた分子被覆導線の導電率の測定を行った。また、導電率の温度依存性測定を行うための準備が完了した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Tomonori Akai: "Fabrication process of fine electrodes using shadow mask evaporation"Japanese Journal of Applied Physics. 41-1・7B. 4883-4886 (2002)
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[Publications] 下村武史: "分子ナノチューブを用いた分子被覆導線"表面科学. 23・10. 634-640 (2002)
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[Publications] 伊藤耕三: "ポリマー性超分子-環状分子を用いた高分子のナノ構遣制御-"日本物理学会誌. 57・5. 321-329 (2002)
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[Publications] 伊藤耕三: "ソフトマテリアルのナノ構造"数理科学. 464. 60-65 (2002)
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[Publications] 伊藤耕三: "ナノチューブを用いた超分子機械"超精密. 11. 20-24 (2002)
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[Publications] Takeshi Shimomura: "Circular dichroism study of the inclusion-dissociation behavior of complexes between a molecular nanotube and azobenzene substituted linear polymers"Journal of Inclusion Phenomena and Macrocyclic Chemistry. (印刷中). (2003)
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[Publications] Tomonori Akai: "HCl doping of insulated molecular wire formed by emeraldine base polyaniline and molecular nanotube"Synthetic Metals. (印刷中). (2003)
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[Publications] Tomonori Akai: "Fabrication of four-probe fine electrodes using scanning-probe nanofabrication"Japanese Journal of Applied Physics. (印刷中). (2003)