2003 Fiscal Year Annual Research Report
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13450023
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 卓也 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (50229556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 秀和 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (80294130)
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Keywords | 単一分子電気伝導度 / 完全共役ポルフィリン / DNA / 電荷移動 / レベルシフト / スタック角度 / 電子状態アライメント / 吸着による分子変形 |
Research Abstract |
最終年度は、これまでに得たDNA、ポルフィリン、カーボンナノチューブ等の電気伝導度測定の結果をより深く理解するために、理論的解析に重点をおいた。 完全共役ポルフィリンを対象として、電気伝導度の計算を行った。電極はAlとし、電極表面に共役ポルフィリンの一部乗せて、橋渡しした系について計算を実行した。その結果、これまでSTMのバリアハイト測定から実験的に明らかにしてきたように、電極から分子へ電荷移動が起こることを見出した。ただし、共役ポルフィリンでは、π電子系が広がっているにも関わらず、電極からポルフィリンに移動した電荷は、分子全体には拡散せずに、電極直上に分布することがわかった。このように、電極一分子間の電荷移動は局所的にとどまるにも関わらず、分子を通した電気伝導に対して決定的な効果を及ぼす。すなわち、分子電極界面の電界移動は、分子全体に広がった分子軌道のレベルシフトを引き起こし、金属電極のフェルミ順位とのアライメントに大きく影響を与える。計算の結果、電極のフェルミ順位とポルフィリン分子のLUMOが極めて近くなり、電気伝導性が飛躍的に大きくなることがわかった。 さらに、DNAに関しても電気伝導度の計算を行った。原子間力顕微鏡観察の結果から、DNAは固体表面への吸着状態では扁平になっていることがわかっている。しかし、DNAの電気伝導の計算において、この事実は全く考慮されず、変形を受けないDNA分子の計算と実験の対比が行われてきた。そこで、DNAが扁平に変形したときに起こると予想される核酸塩基間のスタック角度に注目して計算を行った。計算は、リン酸基や糖鎖は除いて、核酸塩基のみを電極間に配置して実行した。その結果、電気伝導度は核酸塩基のスタック角度に大きく依存し、スタック角度が45°になると、0°のときに比べて電気伝導性は1010も大きくなることを見出した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yoichi Otsuka, Yasuhisa Naitoh, Takuya Matsumoto, Tomoji Kawai: "Point-contact current-imaging atomic force microscopy : Measurement of contact resistance between single-walled carbon nanotubes"Appl.Phys.Lett.. 82. 1944-1946 (2003)
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[Publications] Katsunori Tagami, Masaru Tsukada, Takuya Matsumoto, Tomoji Kawai: "Electronic transport properties of free-base tape-porphyrin molecular wires studied by self-consistent tight-binding calculations"Phys.Rev.B. 67. 245324 (2003)
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[Publications] Katsunori Tagami, Takuya Matsumoto, Tomoji Kawai, Tasaru Tsukada: "Theoretical prescriptions for improving conductance of short DNA segments sandwiched between metal electrode"Jpn.J.Appl.Phys.. 42. 5887 (2003)
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[Publications] 大塚洋一, 内藤泰久, 寺脇歩, 松本卓也, 河合知二: "点接触電流イメージング原子間力顕微鏡の開発"表面科学. 24. 573 (2003)
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[Publications] Akihiko Takagi, Yoshiki Yanagawa, Akihiko Tsuda, Naoki Aratani, Takuya Matsumoto, Atsuhiro Osuka, Tomoji Kawai: "STM imaging of individual porphyrin hexamers ; meso-meso slingly linked orthogonal hexamer and meso-meso, β-β,β-β tiply-linked planear hexamer on Cu(100) surface"Chem.Commun.. 2986-2987 (2003)