光機能性結晶と高分子光導波路とを接合した新規光導波路の作製

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13450025
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 戒能 俊邦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (00281709)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 岡本 悦哉 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (50312682) ; 小松 京嗣 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (90261502)
• Keywords: リフトオフプロセス / 反応性イオンエッチング / フォトプロセス / 有機イオン性色素 / 紫外線硬化エポキシ樹脂 / 異性化 / アゾベンゼン色素 / フォトブリーチング

Research Abstract

本年度は有機イオン性結晶として、無機材料の電気光学効果を2倍上回るジメチルアミノスチルバゾリウムトシレート(DASTと略記)を対象に、透明性に優れる高分子である紫外線硬化型エポキシ樹脂(UVエホキシ)との接合構造化を検討した。このための第一のアプローチとして、標準的なフォトプロセスとエッチング技術とを組み合わせた技術の可能性を検討した。DASTは一般的有機溶剤に可溶であるとともに、イオン性であるために水にも可溶といった問題を抱えている。このため通常のレジストプロセスではなく、リフトオフによるレジストプロセスを採用した。リフチオフ層にポリメチルタクリート(RMMA)を用い、レジスト層を積層、パターン化ののち、酸素を用いた反応性イオンエッチング(酸素RIE)によって光導波路パターンを形成、トルエンで残存レジストをリフトオフしてコアリッジを得た。この手法をもとに、UVエポキシとの接合光導波路作製を行った。すなわち、酸素RIEおよびリフトオフプロセスによってDAST結晶の光導波路長部分を形成後、UVエポキシをスピンコートし、DAST上部の樹脂をエッチング後、同様の手法により接合化を実現した。これは有機結晶と透明高分子で構成される始めての接合光導波路であり、機能を得る結晶部分と、光の伝搬を担う高分子部分の最適化によって、新規な光導波路型素子の実現につながる。
一方、フォトプロセスとエッチング技術の組み合わせに比べ、簡便な光導波路作製法として、フォトブリーチング技術に着目した。結晶への紫外光照射による分子構造変化(トランスーシス異性化、あるいはデコンポジション)による屈折率の低下を活用し、紫外光照射をクラッド領域とする技術である。本技術をDAST結晶に適用し、ブリーチングによる屈折率変調深さを評価したところ、7〜8μmの領域まで屈折率を低下させることができた。本技術によってDAST光導波路が形成でき、光透過性はリフトオフプロセスを活用したドライエッチングによる光導波路と同じレベルであった。本技術と組み合わせる接合構造用の透明性に優れる高分子は、DAST同様、紫外光照射によって化学変化をおこす構造を必要とする。そこで、最も可能性の高い高分子として、アゾベンゼン色素を側鎖に有する材料の検討を進めている。この材料に対しては、光の透過性が求められるため、骨格となる高分子の構造のみならず、結合する色素構造についても最適化が必要と考えられる。

Research Products

• [Publications] Kyoji KOMATSU, Hiroshi NANJO, Yoko YAMAGISHI, Toshikuni KAINO: "Oriented Thin Film Fabrication of Organic Nonlinear Optical Crystals"Thin Solid Films. 393. 1-6 (2001)
• [Publications] Tetsuya TAIMA, Kyoji KOMATSU, Sinji ONODERA, Toshikuni KAINO: "Fabrication of a frequentry conversation device using a novel direction controlled crystal growth method"Journal of Crystal Growth. 229. 558-562 (2001)
• [Publications] Kazuya TAKAYAMA, Kyoji KOMATSU, Yoshikuni KAINO: "Serially Grafted Waveguide Fabrication of Organic Crystal and Transparent Polymer"Jpn. J. Appl. Phys. 40(8)part1. 5149-5150 (2001)
• [Publications] Bin CAI, Toshiaki HATTORI, Hui Hua DENG, Kyoji KOMSTSU, Crispin ZAWADZKI, Norbert KEIL, Toshikuni KAINO: "Refractive Index Control and Grating Fabrication of 4'-N, N-dimethylamino-N-methy1-4-stilbazolium Tosylate Crystal"Jan. J. Appl. Phys. 40(9)part2. 964-966 (2001)