2003 Fiscal Year Annual Research Report
分極反転光素子をめざした強誘電ドメイン制御に関する研究
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13450031
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Research Institution | National Research Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
栗村 直 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, 主任研究員 (10287964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 啓幾 早稲田大学, 理工学部, 教授 (80287979)
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Keywords | 擬似位相整合 / ニオブ酸リチウム / 核成長 / ドメイン / 分極反転 / 電界印加 / 波長変換 / QPM |
Research Abstract |
平成14年度までの電界印加分極反転法の研究により、分極反転過程に必要とされてきた「抗電界」の概念に疑問を持った我々は、15年度に、新たに「ゼロ速度電界」なる概念を見いだした。これは分域壁の移動速度がゼロとなる電界で分極反転では重要な特性指数であり、選択的核成長ではこの電界E_0を利用してきた。分域壁移動速度がゼロではないためこの電界と抗電界E_cの間の電界でも分極反転は進行し波長変換デバイスの作製も可能である。特に分域壁移動速度が高いため反転過程の制御が困難であった定比組成LN/LT(SLN/SLT)においては、E_0以上E_c以下の電界を印加することで均一な分極反転に成功した。本手法を用いて波長変換デバイスを作製し、ドメインアスペクト比250をもつ第二高調波発生デバイスを達成し、高出力緑色光発生を実現した。 新たに開発されたSLN/SLTにおいては、従来周期分極反転構造の作製が困難であるとされていた。これは材料の欠陥が低減されたことで分域壁の移動速度が上昇し、分極反転過程の制御が困難になったことによる。まず従来概念である抗電界を決定するために、P-Eヒステリシスを測定して抗電界E_cを決定した。また反転時間の逆数から分域壁移動速度の電界依存性を導き出し、ゼロ速度電界E_0を決定した。そして周期分極反転には低電界分極反転法(E_0<E<E_c)を利用することで、波長変換デバイスの作成に成功した。 SLTにおいては周期8.0μm(1mm厚)、周期30μm(2mm厚)の分極反転を行った。周期8.0μmのデバイスにおいては厚さ1mmの基板を貫通する分極反転構造がドメインのアスペクト比(深さ/幅)250で得られ、パルスNd:YAGレーザーの第二高調波発生実験を行ったところシングルパスで4.4Wの高出力緑色光が得られた。また周期30μmのデバイスにおいては厚さ2mmの基板でアスペクト比133が得られ、変換効率の均一性が高い中赤外波長変換デバイスが得られた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Nan Ei Yu, S.Kurimura他: "Efficient frequency doubling of a femtosecond pulse with simultaneous group-velocity matching and quasi phase matching in periodically poled, MgO-doped lithium niobate"Applied Physics Letters. 82・20. 3388-3390 (2003)
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[Publications] S.Ashihara, S.Kurimura他: "Group-velocity-matched cascaded quadratic nonlinearities of femtosecond pulses in periodically poled MgO:LiNbO3"Optics Letters. 28・16. 1442-1444 (2003)
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[Publications] Nan Ei Yu, S.Kurimura他: "Broadband Second Harmonic Generation with Simultaneous group-Velocity Matching and Quasi-Phase Matching"Jpn.J.Appl.Phys. 42・7B. 821-823 (2003)
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[Publications] S.Ashihara, S.Kurimura他: "Optical pulse compression using cascaded quadratic nonlinearities in periodically poled lithium niobate"Applied Physics Letters. 84・7A. 1055-1057 (2004)
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[Publications] 栗村直, 北村健二: "定比組成LiNbO3/LiTaO3における分極反転とデバイス応用"レーザー学会誌レーザー研究. 32・3. 181-184 (2004)