2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13450037
|
Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
大野 正弘 千葉工業大学, 工学部, 助教授 (20327159)
|
Keywords | 位相共役 / 超音波画像 / 圧電 / 非線形 |
Research Abstract |
本研究は、超音波送受信子と位相共役波(時間反転波)発生素子の間で超音波が共振形態をなすような系を構成し、それを特に超音波画像形成に応用しようとする試みである。研究3年目(最終年度)である平成15年度には以下の成果が得られた。 1)PZTセラミックスを非線形媒質とする位相共役素子から発生する超音波位相共役波の波面忠実度を実験的に検討し、周波数3.7MHzの平面波超音波の位相共役波の波面が入射時と波長の6分の1以下の誤差で一致することを音場可視化により示した。この誤差は理論計算による見積もりとほぼ一致した。 2)上記位相共役素子を走査型映像系に組み込み、表面に凹凸のある試料に対して超音波画像を取得した。画像化した試料は、表面が粗面であると同時に弾性的性質が場所により異なる試料であり、従来の超音波画像装置では検査が極めて難しかったものであるが、位相共役波を用いることにより、弾性的性質を凹凸情報からかなりよく分離して観察できることが示された。 3)上記画像装置を構成する際に、試料からの反射波を導波部を用いて位相共役素子に誘導する構成とした。これにより、超音波エネルギーをロスなく位相共役素子に導くことができ、画像系のS/N比向上および不必要に大きな非線形媒質が不要になるという改善効果が得られた。 以上を総括するに、原理的に重要な点である、位相共役波の波面が高い忠実度を持ち入射波と位相共役波がつねに共振形態を持ち得ることが1)により示された。また、本研究の主要な目的である、粗面試料の超音波画像化への応用が2)、3)によりなされた。しかしながら、多数回の共振により音場を大きく増強するという段階には現時点では至っていない。これは、位相共役波発生効率が依然として数%と小さいこと、およびその他の実験的制約によるものである。しかし、本補助費により構築した実験系に改良を加えることにより今後実現可能であると考えている。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 大野正弘: "位相共役波の波面の可視化"日本音響学会講演論文集2003年秋季. 1187-1188 (2003)
-
[Publications] 大野正弘: "位相共役波の波面忠実度の可視化による検討"第24回超音波シンポジウム講演論文集. 195-196 (2003)
-
[Publications] M.Ohno, A.Kokubo: "Observation of Wavefronts in Ultrasonic Phase Conjugation by Nonlinear Piezoelectricity"Proceedings of 8th. Western Pacific Acoustic Conference. (CD配布). (2003)
-
[Publications] M.Ohno, N.Tanaka, Y.Matsuzaki: "Sclieren Imaging by the Interference of Two Beams in Raman-Nath Diffraction"Jpn.J.Appl.Phys.. 42. 3067-3071 (2003)
-
[Publications] M.Ohno: "Investigation of Wavefront Fidelity of Phase Conjugate Waves by the Schlieren Method"Jpn.J.Appl.Phys.. in press. (2003)
-
[Publications] 大野正弘, 加藤隆宏, 小久保旭: "導波部を設けた位相共役素子による表面凹凸固体試料の画像観察"電子情報通信学会研究報告(超音波). 発表予定. (2003)