2001 Fiscal Year Annual Research Report
微細スケルトン構造白金/CVDダイヤモンド積層薄膜への水素の注入とその拡散
Project/Area Number |
13450128
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 利道 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00183004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺地 徳之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50332747)
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Keywords | 白金薄膜 / CVDダイヤモンド薄膜 / 構造変化 / 埋込み構造 / スケルトン構造 / マイクロ波プラズマ / 自己組織化 |
Research Abstract |
マイクロ波プラズマCVD(化学気相堆積)法を用いてシリコンウエハー上に形成した品質の異なる種々の他結晶ダイヤモンド薄膜に対し、スパッター堆積法により白金薄膜をほぼ一様に堆積し、その後ダイヤモンド薄膜を同じプラズマCVDプロセスにより追成長した結果、白金薄膜の明瞭な形態変化が生じその変化の様子は白金の膜厚に応じて異なることが判明した。この依存性は、白金原子の移動を左右する要因があると思われる粒界近傍を除いた領域では、ホモエピタキシャル単結晶ダイヤモンドの場合とほぼ同様であった。また、電子ビーム蒸着法で堆積した白金薄膜の場合も、スパッター堆積法の場合と比べあまり大きな変化は見出せなかった。観測された具体的形態変化は以下の通りである。白金薄膜の膜厚が十分薄い場合には、薄膜状の白金は凝集してほぼ球状になってダイヤモンド基板上に分散し、適当な膜厚のダイヤモンド薄膜層をさらに堆積することにより完全に追成長ダイヤモンド膜中に埋め込まれることが、X線分析器付走査型電子顕微鏡データの入射電子エネルギー依存性等を解析した結果判明した。また、ダイヤモンド薄膜追成長後に球状に近い白金粒が得られる場合には、形態変化前の白金膜厚と形成された白金粒の大きさには強い相関関係があり、ダイヤモンド上に堆積した白金薄膜は自己組織化することが明らかとなった。この様な白金薄膜の構造変化はある温度以上の真空熱処理でも生じるが、ほぼ同一のダイヤモンド基板温度になるような水素プラズマ照射処理をした場合にはその変化がさらに早く進行し、また、構造変化後の白金の結晶性が真空熱処理ごと水素プラズマ照射後では異なるため、観測された白金薄膜の構造変化は基板温度およびプラズマ照射の強調効果によるものと結論される。
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