マイクロ波帯磁気デバイス用フェライトの薄膜化技術開発

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13450145
• Research Institution: Yamaguchi University
• Principal Investigator: 山本 節夫 山口大学, 工学部, 助教授 (30182629)
• Keywords: フェライト / 薄膜 / マイクロ波 / 磁気デバイス / インダクタ / アイソレータ / サーキュレータ / 情報通信機器

Research Abstract

携帯情報通信機器で使用されている現行の磁気デバイスでは、バルクのフェライト材料が使用されており、このことが磁気デバイス、ひいては携帯情報通信機器の薄型化・小型化を妨げている主要因となっている。本研究では、マイクロ波領域での使用が可能な軟磁気特性をもつフェライト薄膜を、低温で製造する技術を開発し、小型で低背な磁気デバイスへの応用の可能性を検討することを目的とする。平成14年度には、以下の研究成果を得た。
1.電子サイクロトロン共鳴マイクロ波プラズマを利用した反応性スパッタ法を用いて、良好な軟磁性(初透磁率は約50、抗磁力は15Oe)を示すNi-Znフェライト薄膜を、毎分23nmの高い成膜速度で、200℃以下の低温で製造する技術を開発した。(1)大きなスパッタ率で動作するように金属粉末成型ターゲットを用いること、(2)酸素ガスは基板付近に導入して、ターゲットは酸化しない状態(メタルモード)に保ちつつ、基板表面では、ECRプラズマ照射のアシストを活用して酸化を促進させることなどが、ポイントであった。
2.Ni-Zn薄膜を利用した微小インダクタの試作を目指し、(1)電磁界シミュレーションを活用してインダクタの構造を決定するとともに、(2)フェライト薄膜のパターニング方法に目処をつけた。
3.高周波電磁界シミュレーションによって、フェライト薄膜を使用した薄型(高さ1mm以下)の新型アイソレータの設計を行った。予備実験として、厚みが0.3mmというYIGフェライト極薄板を用いて厚みが1mm(現行製品の1/2の高さ)のアイソレータを試作し、5GHzで正常に機能することを確認できた。

Research Products

• [Publications] 和田宏文: "反応性ECRスパッタリング法によるNi-Znフェライト薄膜の作製"日本応用磁気学会誌. 27巻・4号(印刷中). (2003)
• [Publications] 山本節夫: "極薄板状フェライトの製造技術"無機マテリアル学会誌. 10巻・3号. 115-121 (2003)
• [Publications] Setsuo Yamamoto: "Magnetic Properties and Recording Characteristics of Co-Containing Ferrite Thin-Film Media Prepared by ECR Sputtering"IEICE TRANSACTIONS on Electronics. Vol.E85-C, No.10. 1750-1755 (2003)
• [Publications] 山本節夫: "反応性ECRスパッタ法で作製したCo含有酸化鉄薄膜のプラズマ酸化処理効"日本応用磁気学会誌. 26巻・4号. 263-268 (2002)
• [Publications] 原田和宏: "Ni-Znフェライト薄膜を使用したインダクタ"粉体粉末冶金協会講演概要集. (5月発表予定). (2003)
• [Publications] 国木弘文: "反応性スパッタ法による作製においてエピタキシャル成長したYIGフェライト薄膜"粉体粉末冶金協会講演概要集. (5月発表予定). (2003)
• [Publications] 置 直之: "パルス通電焼結法で作製したYIGフェライト薄板の熱処理効果"粉体粉末冶金協会講演概要集. (5月発表予定). (2003)
• [Publications] Setsuo YAMAMOTO: "Preparation of Co-containing spinel ferrite / Ni-Zn ferrite double-layer perpendicular recording media"Joint [NA] PMRC 2003, Digest of Technical Papers. MP-07. 23 (2003)
• [Publications] Hirofumi Kuniki: "Preparation of Co-containing spinel ferrite / Mn-Zn ferrite double-layered perpendicular magnetic recording media using ECR sputtering"第14回日本MRS学術シンポジウム. M1-006-M. 237 (2003)
• [Publications] Hirofumi Wada: "LOW TEMPERATURE SPUTTER-DEPOSITION OF Ni-Zn FERRITE THIN-FILMS USING ELECTRON-CYCLOTRON-RESONANCE MICROWAVE PLASMA"第14回日本MRS学術シンポジウム. M1-005-M. 237 (2003)
• [Publications] Setsuo Yamamoto: "Low Temperature Sputter-Deposition of Ni-Zn Ferrite Thin-Films Using Electron-Cyclotron-Resonance Microwave Plasma"ASSTRACTS, 47^<th> Annual Conference on MAGNETISM AND MAGNTIC MATERIALS. FG-02. 302 (2003)
• [Publications] 下光敬子: "低背型アイソレータ/サーキュレータにおけるバイアス磁場印加方法"第3回日本MRS (MRS-J) 山口大学支部研究発表会 講演予稿集. MRSJ-Ya-01. MRSJ-Ya-01 (2002)
• [Publications] Setsuo Yamamoto: "Co-Containing Spinel Ferrite Thin-Film Perpendicular Magnetic Recording Media With Mn-Zn Ferrite Backlayer"The 7^<th> Asian Symposium on Information Storage Technology (ASIST-7). MR-2002-39. 13-18 (2002)
• [Publications] Hirofumi Wada: "Deposition of Ni-Zn Ferrite Backlayers for Perpendicular Magnetic Recording Media By Reactive ECR Sputtering Method"The 7^<th> Asian Symposium on Information Storage Technology (ASIST-7). MR-2002-38. 7-11 (2002)
• [Publications] 置 直之: "放電プラズマ焼結法による厚膜フェライトの作製"第26回日本応用磁気学会学術講演概要集. 20aE-9. 472 (2002)
• [Publications] 和田宏文: "反応性ECRスパッタリング法によるNi-Znフェライト薄膜の作製"第26回日本応用磁気学会学術講演概要集. 20aE-5. 468 (2002)
• [Publications] 仲摩和浩: "ECRイオンビームスパッタ法によるMn-Znフェライト薄膜の作製"第26回日本応用磁気学会学術講演概要集. 20aE-4. 467 (2002)
• [Publications] 山本節夫: "低温で製造したフェライトの高周波デバイスヘの応用"東北大学電気通信研究所共同プロジェクト研究会. (2002)
• [Publications] 山本節夫: "酸化鉄二層垂直磁気記録媒体の作製"日本学術振興会磁気記録第144委員会研究報告. 156-2. 156-2 (2002)
• [Publications] 仲摩和浩: "ECRイオンビームスパッタリング法によるMn-Znフェライト薄膜の作製"粉体粉末冶金協会講演概要集. 3-31A. 153 (2002)
• [Publications] 置 直之: "フェライト厚膜の作製"粉体粉末冶金協会講演概要集. 3-49A. 238 (2002)
• [Publications] 山本節夫: "ECRイオンビームスパッタ法によるMn-Znフェライト層の作製"電子情報通信学会2002年総合大会講演論文集. SC-6-4. SC-6-4 (2002)
• [Publications] 山本節夫: "Mn-Znフェライト軟磁性裏打ち層の作製"電子情報通信学会2002年総合大会講演論文集. SC-6-3. SC-6-3 (2002)
• [Publications] 山本節夫: "SPS法による厚膜フェライトの作製"電子情報通信学会技術研究報告. MR2001-89. 1-7 (2002)