2003 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波帯磁気デバイス用フェライトの薄膜化技術開発
Project/Area Number |
13450145
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 節夫 山口大学, 工学部, 助教授 (30182629)
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Keywords | フェライト / 薄膜 / マイクロ波 / 磁気デバイス / インダクタ / アイソレータ / サーキュレータ / 情報通信機器 |
Research Abstract |
携帯情報通信機器で使用されている現行の磁気デバイスでは、バルクのフェライト材料が使用されており、このことが磁気デバイス、ひいては携帯情報通信機器の薄型化・小型化を妨げている主要因となっている。本研究では、マイクロ波領域での使用が可能な軟磁気特性をもつフェライト薄膜を、低温で製造する技術を開発し、小型で低背な磁気デバイスへの応用の可能性を検討することを目的とする。平成15年度には、以下の研究成果を得て、本研究の目的を達成した。 1.電子サイクロトロン共鳴マイクロ波プラズマを利用した反応性スパッタ法を用いて、昨年度よりも良好な軟磁性(抗磁力11 Oe)を示す高結晶配向性のNi-Znフェライト薄膜を、昨年度の2倍以上高い堆積速度(毎分44nm)で製造する技術を開発した。これには、従来の平板型ターゲットに替えて、コーン状のターゲットを導入したことが功を奏した。 2.Ni-Znフェライト磁性薄膜を利用した微小インダクタを開発した。空芯インダクタに比べ、1GHzまでにおいて、共振周波数を大幅に低下させることなく、インダクタンスが約25%増加し、Q値は約15%増加することがわかり、Ni-Znフェライト薄膜を磁気コアとして使用することの有効性が実証された。試作品の占有面積は、6×10^4μm^2(250μm×240μm)であり、これまでに報告されている他者による試作品と比較して、面積比で、約50%の小型化に成功した。 3.高周波電磁界シミュレーションによって、フェライト薄膜を使用した薄型(高さ1mm以下)のマイクロストリップYジャンクション型のアイソレータを設計した。サーキュレーション(電磁波の非可逆回転)が有効に起こるように、Yジャンクションのセンターサークルの真下の設置面を線路に近づけた新構造を考案した。シミュレーションによって、このモデルは4.8GHzにおいて、アイソレーション25dB、挿入損失1.3dB、比帯域幅2%で動作することを確認した。サーキュレータを製造するプロセスを開発し、実際にサーキュレータを試作し、動作することを確認した。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] K.Oshiro: "High-frequency Electromagnetic Simulation of Extremely Low-height Circulator Using Microstrip Y-junction"Transactions of the Materials Research Society of Japan. (印刷中). (2004)
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[Publications] S.Yamamoto: "Proposal of New Circulator with Coplanar Waveguide Structure"Transactions of the Materials Research Society of Japan. (印刷中). (2004)
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[Publications] 山本節夫: "コーン型ターゲットを用いた反応性ECRスパッタ法によるNi-Znフェライト薄膜の高速作製"日本応用磁気学会誌. (印刷中). (2004)
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[Publications] T.Ogita: "High Rate and Low Temperature Sputter-Deposition of Ni-Zn Ferrite Thin Films"Transactions of the Materials Research Society of Japan. (印刷中). (2004)
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[Publications] H.Kuniki: "YIG ferrite thin-films epitaxially grown by reactive sputtering method"Transactions of the Materials Research Society of Japan. (印刷中). (2004)
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[Publications] K.Oshiro: "Low height circulator using microstrip line"Transactions of the Materials Research Society of Japan. (印刷中). (2004)
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[Publications] 山本節夫: "Ni-Znフェライト薄膜を使用したインダクタ"粉体粉末冶金. 51巻・3号(印刷中). (2004)
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[Publications] 山本節夫: "反応性スパッタ法による作製において エピタキシャル成長したYIGフェライト薄膜"粉体粉末冶金. 51巻・3号(印刷中). (2004)
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[Publications] H.Wada: "Low Temperature Sputter-Deposition of Ni-Zn Ferrite Thin-Films Using Electron-Cyclotron-Resonance Microwave Plasma"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 28巻・4号. 1109-1112 (2003)
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[Publications] Hirofumi Kuniki: "Preparation of Co-containing spinel ferrite / Mn-Zn ferrite double-layered perpendicular magnetic recording media using ECR sputtering"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 28巻・4号. 1109-1112 (2003)
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[Publications] S.Yamamoto: "Co-Containing Spinel Ferrite Thin-Film Perpendicular Magnetic Recording Media With Mn-Zn Ferrite Backlayer"IEICE TRANSACTIONS on Electronics. E86-C巻・9号. 1835-1840 (2003)
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[Publications] H.Wada: "Reactive ECR-Sputter-Deposition of Ni-Zn Ferrite Backlayers for PMR Media"IEICE TRANSACTIONS on Electronics. E86-C巻・9号. 1846-1850 (2003)
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[Publications] 和田宏文: "反応性ECRスパッタリング法によるNi-Znフェライト薄膜の作製"日本応用磁気学会誌. 27巻・4号. 363-366 (2003)