2003 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷地において硫酸塩の作用を受けるコンクリートと劣化のその対策に関する研究
Project/Area Number |
13450178
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 尚 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90005512)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板橋 洋房 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80142206)
岩城 一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20282113)
|
Keywords | コンクリート / 硫酸 / 劣化予測 / 中性化深さ / 侵食深さ / 凍害 / 複合劣化 / モルタル |
Research Abstract |
今年度は、これまでの実験結果に基づいて、コンクリートの硫酸による劣化、および硫酸と凍結融解作用による複合劣化に関して、劣化予測モデルの構築を行った。 このうち硫酸によるモルタルの中性化深さについては、硫酸浸漬期間、硫酸濃度、セメント水比に各々比例する傾向が認められたため、これらの影響を考慮した劣化予測式を構築した。さらに、コンクリート供試体を作製し、上述した要因がコンクリートの硫酸劣化に及ぼす影響について検討を行った結果、モルタルとほぼ類似した傾向を示したため、モルタルの劣化予測式の概念をコンクリートにも適用し、その妥当性を検証した。その結果、コンクリートでは、モルタルに比べ、水セメント比が劣化に及ぼす影響が小さく、その理由として、水セメント比によりブリーディング量が変化し、粗骨材界面の物性を変化させた可能性があると考察した。さらに、水セメント比一定の条件で粗骨材量を変化させたコンクリート供試体を作製し、粗骨材量が硫酸劣化に及ぼす影響を調べた結果、平均的な侵食深さで評価した場合、粗骨材量の増加に伴い、侵食速度は見かけ上減少するものの、コンクリート中のモルタル部の侵食深さで評価すると、粗骨材量によらずほぼ同じ侵食深さとなることを明らかにした。 一方、硫酸と凍結融解作用によるコンクリートの複合劣化については、硫酸による劣化と凍結融解作用による劣化を別々に測定し、このうち前者については、凍結融解サイクルを想定した低温下におけるコンクリートの硫酸劣化の影響を考慮することにより、両者の足し合せが成り立つか否かについて検討を行った。その結果、硫酸と凍結融解作用によるコンクリートの複合劣化は個々の足し合せによりある程度評価が可能であるが、水セメント比の違いにより硫酸劣化の開始時期が異なるため、今後、この影響をモデルに反映させる必要があることを明らかにした。
|
-
[Publications] 板橋洋房: "硫酸の影響を受けたコンクリートの凍害に関する研究"土木学会第58回年次学術講演会. 45-46 (2003)
-
[Publications] 吉田祐介: "硫酸によって劣化したコンクリートの内部強度分布に関する研究"土木学会第58回年次学術講演会. 47-48 (2003)
-
[Publications] 青柳直樹: "硫酸環境下におけるコンクリートの劣化性状と内部強度分布に関する研究"コンクリート工学論文集. 15・1. 35-43 (2004)
-
[Publications] 板橋洋房: "硫酸の影響を受けたコンクリートの凍害"平成15年度土木学会東北支部技術研究発表会講演概要集. 596-597 (2004)
-
[Publications] Alexandru Lechkun: "Sulfuric acid attack on concrete at various temperatures"平成15年度土木学会東北支部技術研究発表会講演概要集. 598-599 (2004)
-
[Publications] 吉田祐介: "硫酸によるコンクリートの劣化に及ぼす粗骨材量の影響"平成15年度土木学会東北支部技術研究発表会講演概要集. 600-601 (2004)
-
[Publications] 吉田祐介: "硫酸の影響を受けたコンクリート劣化の進行に関する研究"セメント・コンクリート論文集. 57. 308-314 (2004)