2001 Fiscal Year Annual Research Report
塑性ヒンジ領域に新材料を用いることにより地震後の復旧を要しない橋脚の開発
Project/Area Number |
13450184
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川島 一彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20272677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
睦好 宏史 埼玉大学, 工学部, 教授 (60134334)
渡邊 学歩 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50334545)
市川 篤司 鉄道総合技術研究所, 研究開発推進室, 主査
堺 淳一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(日本学術振興会), 特別研究員
庄司 学 筑波大学, 機能工学系, 講師 (60282836)
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Keywords | 耐震設計 / 橋梁 / 地震対策 / 震災対策 / 鉄筋コンクリート / 免震設計 / 新技術 |
Research Abstract |
本研究は、橋脚の曲げ塑性変形によって損傷を生じるのは塑性ヒンジ領域とよばれるわずかな領域でしかないことに着目し、この領域に高性能ゴム等の復元力特性に富み、高面圧に耐えられる新材料を用いると同時に、高強度の鋼棒等によって軸方向にプレストレスを導入する等によって、大地震に要求される曲げ変形特性を有しつつ、地震によって損傷せず、従って地震後に復旧が不要な橋脚を開発しようとするものである。 平成13年度には、塑性ヒンジ領域にゴム層を設置する方法を対象として、性能目標に応じて必要なゴム層の厚さと曲げ引張力を分担するために高強度鋼棒に導入すべきプレストレス量の関係をまずファイバー要素解析で明らかにした。また、ゴム層単独のせん断、圧縮引張載荷実験を行い、鋼面圧下の基本的な変形特性解析した。さらに、ゴム層を基部の塑性ヒンジ区間に組み込んだ1/8鉄筋コンクリート橋脚模型を用いてくり返し載荷実験を行い、ゴム層の変形状況と橋脚躯体の損傷状況を検討した。この結果、以下の結果を得た。 1)ゴム層を橋脚基部に設置することにより、橋脚の曲げ変形をゴム層の変形でとることができ、従来型の橋脚であればドリフト4%程度で種鉄筋の破断を含む大きな損傷が生じるのに対して、ここで開発する橋脚では、コンクリートにはほとんど損傷は生じない。 2)ゴム層には直ひずみにして50%以上もの大きな大きな変形が生じ、はらみだしや最終的には破断も生じる。ゴム層の厚さを増やすとゴム層自体の損傷は減少するが、はらみだしが大きくなることから、ゴムの積層下が有効と考えられる。 3)高強度鋼棒を挿入したり、これにプレストレスを導入すると、ドリフトが4%以上となり、最終的に主鉄筋が破断し始めた後の曲げ耐力の急速な低下を防止する上で効果がある。3)せん断キーはゴム層が厚くなり、せん断変形しやすくなった段階で主鉄筋の損傷を防止するために有効である。 4)東京工業大学で開発した除荷、再載荷過程を表せるコンクリートの応力〜ひずみモデルを組み込んだファイバー要素解析により実験結果をかなり良い精度で再現することができる。 5)鉄筋コンクリート橋脚の地震後の残留変位を制御する手法を確立するために、プレストレスを導入したRC橋脚の模型供試体を作製し,正負交番載荷実験,仮動的実験を行い,その基本的耐震性状を明らかにした。その結果,プレストレスをRC橋脚に適切に導入することによって,地震後に要求される残留変位を制御できることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 細入圭介, 川島一彦, 庄司学, 堺淳一: "アンボンド区間を有する鉄筋コンクリート橋脚の耐震性"第4回地震時保有耐力法に基づく橋梁の耐震設計に関するシンポジウム講演論文集, 土木学会. 4. 447-454 (2000)
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[Publications] 川島一彦, 永井政伸: "ダメージフリー橋脚の開発"第5回地震時保有耐力法に基づく橋梁の耐震設計に関するシンポジウム講演論文集, 土木学会. 5. 219-226 (2002)
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[Publications] 永井政伸, 川島一彦: "ダメージフリー橋脚の開発"第1回日本地震工学会研究発表討論会. 1. 299 (2001)
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[Publications] 永井政伸, 川島一彦, 庄司学: "塑性ヒンジ領域にゴム層を有する鉄筋コンクリート橋脚の開発"第56回年次学術講演会講演概要集, 土木学会. CD-ROM/部門1〜3. I-A300 (2001)
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[Publications] W. A. Zatar, H. Mutuyoshi: "Control of Residual Displacement of RC Piers by Prestressing,"Modeling of Inelastic Behavior of RC Structures Under Seismic Loads, ASCE. 590-604 (2001)
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[Publications] 睦好宏史, WAER ZATAR, 牧剛史: "プレストレスを導入した鉄筋コンクリートの橋脚の耐震性状"土木学会論文集. 669/V-50. 27-38 (2001)