Research Abstract |
【放射線のC. parvumオーシスト不活化力】 電子線のE. coli不活化力はガンマ線の約1/2であると報告されているが,C. parvum不活化力をマウス感染性で評価したときの2log不活化線量は,電子線で92Gy,ガンマ線で94Gyとなりほぼ同じであった。また,脱嚢性で評価したときの2log不活化線量は,電子線が12,000Gy,ガンマ線が13,000Gyとなり,紫外線の場合と同様,低線量の放射線を照射したオーシストは,感染力は喪失しているが生存していることが明らかとなった。電子線はガンマ線に比べ照射線量率が高いことから,連続処理が必要な汚泥の処理に適していると考えられる。10MV加速器で汚泥(比重1.5,厚さ20mm)中のC. parvumの感染性を4log減少させる線量(185Gy)の電子線を照射すると仮定すると,処理能力は約10万トン/日と試算された。 【放射腺の不活化力に及ぼす汚泥の影響】 リン酸塩緩衝液,生汚泥,脱水汚泥,汚泥抽出液にC. parvumを均一に懸濁させてからベータ線を照射し,不活化に及ぼす汚泥の影響を脱嚢性で評価した。その結果,リン酸塩緩衝液,生汚泥,脱水汚泥,汚泥抽出液中における2log不活化線量は,それぞれ12,000Gy,13,000Gy,12,900Gy,12,400Gyとおおむね差がなく,汚泥の影響は認められなかった。 【放射線照射オーシストの回復の有無】 C. parvumオーシストに100Gyのガンマ線を照射した後,光回復処理では水温を20℃に維持しながら照射線量率0.10mW/cm^2の白色蛍光灯光線を1〜2時間照射した。また,暗回復処理では20℃の暗所に24時間静置した。C. parvum不活化力をマウス感染性で評価したところ,紫外線照射直後,光回復処理後および暗回復処理後の不活化力はすべて2.2logとなり,感染性は増加も減少もしなかった。
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