2001 Fiscal Year Annual Research Report
建築鉄骨構造のライフサイクルにおける環境負荷削減に関する研究
Project/Area Number |
13450229
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
岩田 衛 神奈川大学, 工学部, 教授 (50322532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 哲 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (60230455)
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Keywords | 鉄骨構造 / ライフサイクル / 環境負荷 / リユース / リサイクル / 廃棄物 / CO_2排出量 / エネルギー |
Research Abstract |
中層の鉄骨造建物を対象に、耐用年数、部材のリユース率、素材のリサイクル率をパラメータとして設定した環境負荷削減のシナリオについてケーススタディを行い、廃棄物重量とCO_2排出量の2つの評価尺度を用いてシナリオの評価を行った。ケーススタディを通じて以下の結論を得た。 1)廃棄物重量とCO_2排出量のいずれの評価においても、建物の耐用年数で100〜150年程度までは、耐用年数を少し増しただけでも環境負荷の大幅な低減が実現されるが、200年程度を境として、それ以上に長く1000年まで耐用年数を上げても、1年あたりに発生する環境負荷はそれほど減少しないことが分かった。 2)廃棄物重量による評価では、リサイクル率とリユース率を上げることが環境負荷削減に大きく寄与するという結果となり、CO_2排出量による評価では、リサイクルの効用は小さく、建物の耐用年数を100年程度まで延ばすことと鉄骨部材をリユースすることによって環境負荷が削減されるという結果となった。 両者の結果から、耐用年数100年程度の範囲で建物の長寿命化を計ると同時に、材料のリサイクル率と部材のリユース率を上げることが環境負荷削減にっながると言えよう。 3)「廃棄物重量」と「CO_2排出量」という2つの評価軸を用いて環境負荷の評価を行ったが、廃棄物重量における評価では再生のために大きなエネルギー消費が発生するリサイクルとリユースの違いが見られず、CO_2排出量における評価では廃棄物はエネルギーを消費しないことから、更新時に材料をリサイクルする場合と常に新規製造材料を用いる場合の環境負荷が同等となるという問題が見られた。単一の評価尺度で環境負荷を評価するのではなく、複数の評価尺度による総合的な判断が必要と言える。
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