2001 Fiscal Year Annual Research Report
メソレベルの分相組織を利用する高プロトン伝導性無機―有機コンポジットの作製と評価
Project/Area Number |
13450274
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
永井 正幸 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (80112481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 元秀 岡山大学, 環境理工学部, 助教授 (80222305)
西野 忠 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (30061485)
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Keywords | 無機-有機コンポジット / プロトン導電帯 / 燃料電池 / シラン / シロキサン / 相分離 / 固体酸 / 電池特性 |
Research Abstract |
固体高分子形燃料電池用の電解質膜に要求される主要な特性は、1)酸化・還元に対する耐久性、2)薄膜等への加工性、3)10^<-2>S/cm以上の導電率、4)優れた機械的な強度、5)ガス或いは液体の不透過性、等である。室温付近で燃料電池を動作させる場合には、現在のところ、これらの条件を満足するのはスルフォン基を付加したフッ化炭素系イオン交換樹脂に限定される。しかし、水の存在が必須であることや加熱下での特性劣化の問題がある。そこで、代替材料の探索が行われている。加熱時の耐久性と導電性を両立させるために、無機-有機複合電解質膜が注目されるようになってきた。複合化の方法は様々であり、フッ化炭素系イオン交換樹脂を含む複合膜化が一つの方法であるが、私達はシラン又はシロキサンを用いて、作製時に自発的に生成するメソレベルのクラスターを利用した無機-有機複合膜を作製した。 ケイリン酸ゲルの成分にポリジメチルシロキサン(PDMS)を加えることにより、ケイリン酸ガラス-PDMS複合体を作製した。PDMSは絶縁体であるために、その割合が増えると柔軟性は増すが導電率が減少する。導電率を高くする方法は種々考えられたが、ここではケイリン酸ゲルに対してプロトン導電体(例えばH_3PW_<12>O_<40>・29H_2Oなど)を添加する方法を採用した。通常は酸を添加すると反応が促進され、試料全体として均質性を保ちながら、導電率及び機械的な強度に優れたコンポジットを作製することは困難である。そこで、親水性を示す部分と疎水性を示す部分を併せ持つ組織構造の実現を目指した。Si/P=2を保ちながら、H_3Pw_<12>O_<40>・29H_2OをSiに対して数%添加することにより、加工性に優れた高いプロトン導電性を示す試料を作製できた。 一方、基本的な考え方はシロキサン系と同様であるが、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)をマトリックスとしても、無機-有機複合体を作製できた。GPTSの構造中には環状エーテルが存在し、それが短時間の間に開環縮合することにより高分子化するのでゾルがゲル化する。条件を調整することにより、シリカやリン酸などの無機物を取り込むことが可能で、メソレベルの相が混在したコンポジットを実現できる。GPTSもプロトン導電性を示さないので、プロトン導電体(例えばH_4SiW_<12>O_<40>・29H_2Oなど)を同時に添加することにより、ゾル・ゲル法により均一で柔軟性のある電解質膜を作製することが可能であった。また、無機-有機コンポジットを基にして、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などを寺トリックスとして複合化することにより、機械的強度の優れた薄膜を作製することも可能であった。さらに、得られたコンポジット電解質膜と電極及び触媒を一体化して、電池特性を計測するために必須である膜電極接合体を組み立てた。このようにして作製した試料の電池特性は、ナフィオンに比較すると電流密度及び出力で比較すると数分の一程度であったが、実用に近い電池特性を実証することができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yong-il Park: "A Novel Proton Exchange Nanocomposite Membranes Derived from 3-Glycidoxypropyltrimethoxysilane and α-Zirconium Phosphate Hydrate"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 26.1. 71-74 (2001)
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[Publications] Jae-Dong-Kim: "H_2 Oxidation of PEMFC Operated on Reformate Gas"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 26.1. 55-58 (2001)
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[Publications] Yong-il Park: "Proton Exchange Membrane of Inorganic Nanocomposites"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 26.1. 67-70 (2001)
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[Publications] Jae-Dong-Kim: "Effect of CO gas and anode-metal loading on H_2 oxidation in proton exchange membrane fuel cell"Jornal of Power Source. 103. 127-133 (2001)
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[Publications] Yong-il Park: "Proton exchange nanocomposite membranes based on 3-glycidoxypropyl trimethoxysilane, silicotungustic acid and α-zirconium phosphate hydrate"Solid State Ionics. 145. 149-160 (2001)
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[Publications] Jae-Dong-Kim: "Characterization of CO tolerance of PEMFC by ac impedance spectroscopy"Solid State Ionics. 140. 313-325 (2001)