2001 Fiscal Year Annual Research Report
残留圧縮応力を持つ表面被膜の自己再生を特徴とする高靭性セラミックス複合材料
Project/Area Number |
13450275
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
阿部 修実 茨城大学, 工学部, 教授 (40231948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百瀬 義広 茨城大学, 工学部, 教授 (10006314)
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Keywords | 残留圧縮応力 / 表面 / 自己組織化 / 自己再生 / 酸化反応 / 損傷許容性 / 強靭化 / 三層型積層材料 |
Research Abstract |
アルミナ・マトリックス中に分散した金属間化合物NiAlを酸化することにより生じる体積膨張を利用して,表面に残留圧縮応力を持つ酸化被膜を自己組織化させた三層型積層複合材料について検討した。化学沈殿法を利用して作製した粉末は,1μm以下の微細な球状NiAl粒子がアルミナで取り囲まれた複合粒子構造を持ち,アルゴン中,1500〜1600℃で無加圧焼結できた。作製したアルミナ-NiAl複合材料は大きな亀裂偏向効果により高い破壊靭性値(5.0〜6.0MPa・m^<1/2>)を示し,表面の圧縮応力に応じて引張応力が発生する中間層に適した応力感受性の低い材質として評価できた。高エネルギーマイクロ波焼結(28GPa)は分散質/マトリックス界面の密着性を改善し,高い亀裂偏向効果を得るために効果的であった。この複合材料を1300〜1400℃で酸化処理すると,処理条件に応じて網目状から緻密膜状まで表面層の自己組織化を制御できた。破壊靭性値は酸化反応による被膜の形成量にほぼ比例して増加し,被膜形成量85%で破壊靭性値6.9〜8.1MPa・m^<1/2>となった。X線残留応力測定により,この被膜には最大130MPaの圧縮応力が発生していることが確認できた。実測の圧縮応力値は母材と三層材の破壊靭性値から推算した圧縮応力値とほぼ一致し,本研究で提案したメカニズムにより材料を強靭化できることと考えられた。しかしながら,酸化度が90%を越えると,表面被膜層と中間層との界面にキャビティーが発生し,残留応力が低下すると同時に表面層の剥離が認められた。界面近傍の構造解析から,これは酸化により生じたニッケル・イオンがアルミナ・マトリックスの粒界に沿って拡散するためであることがわかったが,これは,一方で,ニッケル・イオンの速い拡散により表面層を自己再生できる可能性を示唆していた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 阿部修実: "表面残留圧縮応力を利用したセラミックス複合材料の強靭化"第17回日本セラミックス協会関東支部研究発表会講演要旨集. 66 (2001)
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[Publications] 滝崎勝敬, 阿部修実: "NiAl/α-アルミナ基複合材料の強靭化"日本機会学会関東支部茨城講演会講演論文集. 57-58 (2001)
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[Publications] 阿部修実, 大輪善孝: "酸化反応によって発生する表面残留圧縮応力を利用したアルミナ-NiAl複合材料の強靭化"第40回セラミックス基礎科学討論会講演要旨集. 82-83 (2002)
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[Publications] 百瀬義広: "摩擦触媒"トライボロジスト. 46. 391-397 (2001)