2004 Fiscal Year Annual Research Report
鉄鋼さびのメソ構造と反応性に関するコロイド化学的研究
Project/Area Number |
13450296
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
石川 達雄 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (30009055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神鳥 和彦 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (70177765)
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Keywords | 耐候性鋼 / 合金元素 / 大気腐食 / 吸着 / 比表面積 / 相転移 / オキシ水酸化鉄 / マグネタイト |
Research Abstract |
1)二元合金鋼材さびのメソ構造 無塗装で使われる耐候性鋼には耐食性向上元素として、Cu、Cr、Niなどの金属が添加されている。現在使用されている耐候性鋼にはこれらの金属が複数添加されているため、それぞれの金属の働きを明らかにすることができない。本研究では、電解鉄にCu、Cr、Niを単独で添加した試験鋼材片を作成した。これらの試験片を、環境の異なる宮古島、銚子、つくばで、2、3年暴露した。生成したさび粒子の比表面積(SA)を、窒素吸着法によりを測定したところ、宮古島ではいずれの金属を添加してもSAが著しく増加し、さび粒子の微細化が起こった。銚子では、少量添加でSAが減少しさび粒子の成長が見られたが、Ni添加量が多くなるとSAが増加した。Cr添加ではNi添加に比べSAの増加は少なかった。一方、つくばでは無添加でもSAが大きく、微細なさびが形成されている。また金属を添加すると、SAは減少したあと増加した。このように、環境によって金属添加の影響が異なることが分かった。宮古島のような塩化物が多い環境では、金属添加によるさび粒子の微細化が著しく、塩化物の少ないつくばでは、金属添加の効果が少ないことが判明した。比較のために暴露したJIS耐候性鋼では、各金属で比較すると、塩化物の多い環境では高いSAを示し、混合添加の相乗効果が現れている。しかし、つくばのような塩化物の少ない環境では、単独添加鋼と耐候性鋼のSAは殆ど差がない。以上のことから、耐候性鋼などの低合金鋼は塩化物環境で有効であることが明らかになった。 2)オキシ水酸化鉄のマグネタイトへの転移に及ぼす金属イオンの影響 鉄鋼さびの組成は時間とともに変化し、安定なさびに変わるのは、さびの各組成間で相転移か起こるからである。合金元素の働きを明らかにするため、α-、β-、およびγ-FeOOHのFe_3O_4への転移反応に及ぼすNi(II)、Cu(II)、Cr(III)およびTi(IV)の影響を調べた。β-FeOOHへのTi(IV)添加とγ-FeOOHへのNi(II)添加を除いて、金属イオン添加によりマグネタイトへの転移が妨害され、とくにα-FeOOHの転移の妨害が顕著であった。合金元素は安定なα-FeOOHさびの活性なマグネタイトへの転移を抑制し、さびを安定化する働きをもつことが分かった。
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Research Products
(6 results)