2003 Fiscal Year Annual Research Report
電解析出法による高強度ナノ結晶合金の開発とその塑性変形挙動
Project/Area Number |
13450298
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
山崎 徹 姫路工業大学, 工学研究科, 助教授 (30137252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 孝晏 姫路工業大学, 高度産業科学技術研究所, 教授 (80101278)
藤田 和孝 宇部高等工業専門学校, 助教授 (10156862)
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Keywords | Ni-W合金 / 電解析出法 / ナノ結晶合金 / 塑性変形 / 熱可塑性 / 延性-脆性遷移温度 / 機械的性質 |
Research Abstract |
電解析出法により作製したNi-Wナノ結晶合金を、その優れた機械的特性を失うことなく精密に成形加工する方法を検討した。Ni-Wナノ結晶合金は、常温ではHV600以上の硬質・難加工性材料である。熱機械試験機を用いて、1kg/mm_2の引張荷重を加えた状態で、加熱速度10℃/min.で昇温させながら、試料の伸び歪み量を測定した結果、480℃以上の高温度側で、軟化による大きな伸びが観察され、わずかな引張応力で大きな変形が引き起こされることが明らかとなった。しかしながら、このような高温度領域にまで加熱処理を行うと、Ni-W合金の硬度は、HV1000以上にまで硬質化し、同時に結晶粒成長を伴って、激しい脆化状態を示すようになった。 一方、Ni-16 at.%Wナノ結晶合金は明瞭な延性-脆性遷移温度(DBTT)を有しており、このDBTTは加熱処理により上昇し、これが室温以上に達したときに脆化が観察された。DBTTが室温以下にあれば、室温での高強度・高靭性を維持していた。電析したままの状態および150℃で4時間まで加熱した材料においては、液体窒素温度中においても完全密着曲げ変形が可能で、曲げ変形後も塑性変形を生じて破断しなかったが(ε_f=1.0)、これら試料に加熱処理を施すと、180℃以上の加熱処理においては、DBTTの上昇が観察され、その上昇の程度は加熱時間の増加とともに減少し、-50℃付近に飽和する傾向を示した。加熱温度が200℃では、DBTTは約2分間の短時間加熱で室温以上に上昇し、室温において激しい脆化が観察されるようになる。一方、Ni-W合金は加熱処理中に熱可塑性を生じて、材料を脆化させることなく精密な成形加工が可能であった。150℃-1hの加熱処理を施した時、加熱前は平板であった試料が、弾性変形を加えられた状態で150℃で加熱されると、加えた変形歪み量の約50%が残留変形となり、これを利用して、成形された形状を保ったままで、高強度・高靭性・高バネ性を維持させることが可能であることがわかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Nasu, M.Sakurai, T.Yamasaki 他: "Microstructure of H-W(M=Fe, Ni) Alloys Produced by Electrodeposition and Mechanical Alloying."Materials Science Forum. Vol.426-432. 4549-4590 (2003)
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[Publications] T.Yamasaki, Y.J.Zheng 他: "Formation of Metal-TiN/TiC Nanocomposite Powders by Mechanical Alloying and Their Consolidation."Materials Science & Engineering. A350. 168-172 (2003)
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[Publications] Y.J.Zheng, T.Yamasaki 他: "Formation of Ultra-fine Grained SUS316L Steels by Ball-milling and Their Mechanical Properties after Neutron Irradiation,"Materials Science &. Engineering. Vol.426-432. 1065-1070 (2003)
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[Publications] 山崎 徹: "「ナノメタルの最新技術と応用開発」編集 井上明久 電解析出法によるナノ結晶材料の作製と性質(著書、分担執筆)"株式会社シーエムシー出版,東京. 225-231 (2003)