2001 Fiscal Year Annual Research Report
原子レベルでの核発生―結晶成長機構の解明とゼオライトの新規合成法の開拓
Project/Area Number |
13450325
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 達也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (40203731)
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Keywords | ゼオライト / 核発成 / 結晶成長 / 短結晶 / 原子間力顕微鏡 / 小角X線散乱 |
Research Abstract |
本研究では、代表的な合成ゼオライトであるFAU型(X型、Y型)およびLTA型(A型)を中心に、ゼオライトの結晶成長機構を原子レベルで検討し、更にこれに基づく合理的な合成プロセスを提案することを目的に研究を進める。 初年度は、希薄系を中心に検討を進め、液中の前駆体の検出と結晶生成過程の原子レベルでの解明を並行して行った。従来これらを個別に検討した例はあるが、包括的な理解は得られていない。そこでまず結晶成長に関わる部分を原子レベルで解明し、本研究に最適なプロセスパラメーターを決定する目的で以下の検討を行った。 あらかじめ合成したファセットの発達したFAU、LTAを種結晶とし、80℃の希薄アルミノシリケート溶液(9ONa_2O : xAl_2O_3 : 9SiO_2 : 5760H_2O)に一定時間浸し、浸す前後の結晶表面の変化をAFMにより同一視野観察を行った。x=1.0のときにはそれぞれ種結晶と同じ結晶構造をもつ物質が既往の研究により成長することがわかっている。 x=1.0のときにはFAU上にはFAUが、LTA上にはLTAが成長することが確認できた。またx=0.2のときは、FAU上では成長と溶解もおきなかったが、LTA上ではLTAが成長することが確認できた。またxの異なる溶液をラマン分光により評価したところ、x=0.2においてはx=1.0の場合に比べて、四員環/六員環が大きくなる傾向が確認できた。以上の結果は、Aの前駆体としては四員環をFAUの前駆体としては六員環を想定すると合理的に説明できる。更にFAUの成長時の表面構造を原子レベルで検討したところ、表面は二重6員環のn倍のステップで覆われていた。この結果もラマン分光の結果をサポートするものであった。 引き続き次年度は更に詳細に結晶成長過程を検討するとともに、核発生に関する検討を進めていきたい。
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Research Products
(1 results)