2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13450340
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
丹治 保典 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (00282848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮永 一彦 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (40323810)
堀 克敏 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (50302956)
海野 肇 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (10087471)
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Keywords | バクテリオファージ / 大腸菌O157:H7 / 外膜タンパク質 / LPS |
Research Abstract |
豚糞便中から単離されたファージ、PP01はE. coli O157:H7に対する高い特異性と、溶菌活性を示した。ファージ尾繊維タンパク質をコードする37遺伝子及び38遺伝子の配列から、PPO1がT2ファージに近縁であり、宿主認識には38遺伝子産物(Gp38)が関与していることが示唆された。 E. coli O157:H7 (ATCC43888)とPP01の培養液から、PP01耐性であるE. coli O157:H7 (R01s)を単離した。PP01がR01sに対して、吸着することができなかったことから、R01sではPP01のレセプター分子が失われていることが示された。外膜構造の解析によりR01sは、主要な外膜タンパク質であるOmpCが欠損していることが分かった。R01s株はompCの1-203bpを含む、その上流14kbpの欠損により、OmpC生産能を失い、PPO1に対する耐性能を得ていることが明らかとなった。さらにプラスミドを導入し、E. coli O157:H7由来のompCをR01sに発現させたところ、R01sはPP01の感受性を回復した。E. coli O157:H7とE. coli K-12のOmpCは共に367アミノ酸からなり、その配列には13アミノ酸の違いがあった。以上のことから、PP01はその違いを認識して、E. coli O157:H7に対して特異的に感染していると考えられる。 連続培養におけるE. coli O157:H7とPP01の相互作用について解析した。ファージ感染後、菌体濃度とファージ濃度は振動しながら変化し、菌体及びファージが消滅することはなかった。菌体濃度の再上昇は、菌体が外膜タンパク質OmpCの欠損と菌体表面のリポ多糖の構成の変化により、PP01に対する感受性を低減させた結果であった。一方で、PP01耐性菌に感染能を有するファージ変異体も観察されたことから、変異ファージが耐性菌に感染し、再び菌体濃度の減少を引き起こしたと考えられる。つまり、菌体濃度とファージ濃度の振動は、PP01に対して耐性能を有する菌体と、その耐性菌に感染性のファージ変異体の出現による現象であった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yasunori Tanji et al.: "Seasonal change and fate of coliphages infected to Escherichia coli O157:H7 in a wastewater treatment plant"Water Research. 37. 1136-1142 (2003)
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[Publications] Katsunori Mizoguchi et al.: "The coevolution of PP01 phage and Escherichia coli O157:H7 in continuous culture"Apple. Env. Microbiol. 69. 170-176 (2003)
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[Publications] M.Morita, et al.: "Characterization of virulent bacteriophage specific for Escherichia coil O157:H7 and analysis of it's cellular receptor and two tail fiber genes"FEMS Microbiol.. 211. 77-83 (2002)
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[Publications] Y.Tanji, et al.: "Fate of coliphage in waste water treatment process and detection of phages caring the shiga toxin type 2"Water Science and Technology. 46. 285-289 (2002)
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[Publications] Masatomo Morita, et al.: "Amino acid alterations on Gp38 of host range mutant of PP01 and vidence for OmpC null mutation in its host cell, Escherichia coil O157:H7"FEMS Microbiol. 216. 243-248 (2002)
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[Publications] Y.Tanji, et al.: "Fate of coliphage in a wastewater treatment process"J. Biosci. Bioeng. 94. 172-174 (2002)