2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13450352
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 一義 京都大学, 工学研究科, 教授 (90155119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 彰浩 京都大学, 工学研究科, 助手 (90293901)
笛野 博之 京都大学, 工学研究科, 助手 (30212179)
御崎 洋二 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90202340)
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Keywords | 有機分子性金属 / 量子機能材料 / 光導電性 / 光強磁性 / 電子構造 / 分子内光電子移動 |
Research Abstract |
1,3-ジチオール-2-イリデンが融合したDT-TTFは,低温まで金属的な伝導性を示す分子性錯体を数多く与えるドナー分子である。本年度は,長寿命の励起状態を実現するうえで有用なアクセプターであるC_<60>とDT-TTFを結合させた複合分子システム(1)を設計し、その電子状態と合成について検討した。無置換-1の分子軌道をRHF/3-21G(^*)法を用いて計算したところ、HOMOはけドナーであるDT-TTF部位、LUMOはアクセプターであるC_<60>部位に局在していることが明らかとなった。また、DT-TTF部位は正、C_<60>部位は負(-0.220)に荷電しており、分子内電荷移動相互作用が期待される。一方、HOMO-LUMOギャップ(6.63eV)はDT-TTF(9.65eV)、C_<60>よりもそれぞれ3.02、1.07eV減少している。次に、1の合成を実際に行い,その性質について検討した。サイクリックボルタンメトリー法により酸化還元電位を測定したところ,1のテトラキス(ヘキシルチオ)誘導体(1a)はTTF部位に相当する二つの可逆な酸化波が0.06,0.42V(vs.Ag/Ag^+,in o-ジクロロベンゼン)に,C_<60>部位に由来する四つの還元波が-1.26,-1.61,-2.12,-2.49Vに観測された。1aの酸化電位はC_<60>の電子吸引効果により,C_<60>を持たないDT-TTF誘導体よりも正にシフト(0.04〜0.08V)している。同様に1の還元電位はC_<60>分子よりも負にシフト(0.01〜0.11V)していることが観測された。1の誘導体は加圧成型試料において,いずれも室温で10^<-8>Scm^<-1>程度の伝導性を示すことが明らかとなった。光照射下での伝導性については次年度に検討する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kazuyoshi Tanaka et al.: "Photochemical Properties of Porphyrin Tapes"Journal of the American Chemical Society. 124巻. 14642-14654 (2002)
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[Publications] 田中一義 ほか: "分子ナノテクノロジー"株式会社 化学同人. 232 (2002)