2002 Fiscal Year Annual Research Report
金属カリウム融液を用いた立方晶窒化ガリウム単結晶の育成
Project/Area Number |
13450355
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山根 久典 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20191364)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
皿山 正二 (株)リコー, 応用電子研究所・オプトデバイス開発センター, 主席係長研究員
窪田 俊一 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (10271975)
島田 昌彦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80029701)
|
Keywords | 窒化ガリウム / 立方晶閃亜鉛鉱型 / 金属カリウム融液 / 単結晶育成 / 反応容器 |
Research Abstract |
閃亜鉛鉱型で立方晶系のGaNは、青色発光ダイオードや短波長半導体レーザー素子として開発研究が急速に展開している六方晶GaNの多形の一つである。立方晶GaNの作製に関しては、主に薄膜や超微粒子の形態での研究が行なわれているのみで、単結晶育成についての研究例はほとんどない。本研究では、良質で比較的大きな立方晶GaNバルク単結晶を作製することを目的として、昨年度に引き続きカリウム融液を用いた方法による立方晶GaN単結晶育成を試みた。 Ar雰囲気のグローブボックス内で、GaとKを種々のモル比で秤量しBNルツボに入れた。このBNルツボをステンレススチール容器に入れ、600〜700℃に昇温後、N_2ガス圧力を4-7MPaに設定し、24〜96時間加熱した。反応後、ステンレススチール容器を開封したところ、多くの実験で、BNルツボが破損するトラブルが発生した。この原因の究明のため、BNルツボ材を検討した。ロットおよび熱処理方法の異なる焼結BM丸棒からルツボを作製し、これらの材質と強度、不純物等を検討した。その結果、ルツボの割れと焼結BNの純度や材質には、大きな相関は見られなかった。焼結BNの粒界には金属K融液との反応が認められたが・ルツボ割れの原因としては、ルツボ製作時に焼結BNに加わる機械的な応力が大きく影響していることが推測された。 BNに代わるルツボ材として種々の金属素材を検討した結果、タングステンがK融液との反応が少ないことを見いだした。タングステン製ルツボを用い、610℃または630℃で、窒素ガス圧力4MPa、96時間反応させる実験を行った。610℃でのGaNの収率は9%で、630℃では80%になった。結晶中の立方晶GaNの割合は、610℃で40%、630℃で10%であった。BNルツボを使用した場合は、融液がルツボ壁に濡れ上がっていたのに対し、タングステンのルツボの場合、610℃の加熱ではK-Ga金属化合物の粒子が多数を占め、630℃ではこの粒子が部分的に溶融した形態となっていた。 今後、機械加工時の歪みを極力抑えて作製したBN製ルツボを用いた実験と、タングステン製ルツボを用いた実験の結果を比較検討することにより、立方晶GaN単結晶の育成に最も適した条件を明らかにする予定である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 山根久典: "K-Ga融液を用いた立方晶窒化ガリウムの作製"日本セラミックス協会学術論文誌. 110. 289-292 (2002)
-
[Publications] Takashi Sekiguchi: "Cathodoluminescence study of h-and c-GaN Single Crystals Grown by a Na or K Flux"Science and Technology of Advanced Materials. 3. 91-94 (2002)