2001 Fiscal Year Annual Research Report
無公害型清澄剤の開発-清澄作用のメカニズムと酸化還元平衡-
Project/Area Number |
13450357
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
前川 尚 愛媛大学, 工学部, 教授 (50000873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 浩 愛媛大学, 工学部, 助教授 (00182501)
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Keywords | 高温融体 / 溶解酸素ガス / 清澄剤 / 酸化還元平衡 / 微分パルスボルタンメトリー / 亡硝 / 固体NMR / 急冷ガラス |
Research Abstract |
1.ガラス融体のボルタンメトリー(硫黄,鉄,スズ) ソーダライムシリカ系ガラス融体中に微量溶かした硫酸ナトリウム(亡硝)の微分パルスボルタンメトリーを行った。波形やピーク位置の温度変化より融体中ではSO_4^<2->→SO>2,SO_2→SおよびS→S^<2->の還元が逐次的に行われていることが分かった。またSO_4^<2->の含有率は温度上昇によって減少することも判明した。一方清澄機構についてはアンチモンイオンのような多価金属イオンの温度上昇・下降に伴う還元・酸化による酸素ガスの発生・吸収によるものではなく,硫酸イオンの分解によるSO_2や酸素ガスの発生によるものであることが推察された。また,鉄イオン共存下での硫酸イオンの存在状態についても調べた。FeイオンとSO_4^<2->あるいはS^<2->イオンが相互作用をしていることも分かり,現在平衡関係に関する考察を行っている。スズイオンについても調べたが,高温では2価が主体となり,清澄剤としての使用は低温でのみ効果があることが分かった。酸性度の強いリン酸塩融体(Na_2O-P_2O_5)中の鉄イオンについても調べた。[Fe^<3+>]/[Fe^<2+>]比はNa_2O量の増加とともに変化しNa_2Oのモル分率が0.5付近に極値を持つことが分かった。酸化物イオン(O^<2->)の量が少ない酸性側ではいわゆるRタイプ,塩基性側ではOタイプの挙動を示した。 2.急冷ガラスの分光学的研究 ガラス化試料のNMRによる微視的構造とガラスの酸・塩基との関連を調べた。AlやBのNMRよりアルカリ金属イオンは酸性の強いAlO_4やBO_4多面体をまず形成するのに使用され次いで酸性度の低いSiO_2と反応することがわかった。 以上の結果は第42回ガラスフォトにクス材料討論会などで発表しており,雑誌論文にすべく準備中である。
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