2001 Fiscal Year Annual Research Report
ルテニウム―ヘテロ原子結合生成を鍵反応とする新合成反応の開発
Project/Area Number |
13450363
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
光藤 武明 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦 康之 京都大学, 工学研究科, 助手 (40335196)
和田 健司 京都大学, 工学研究科, 助手 (10243049)
近藤 輝幸 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20211914)
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Keywords | ルテニウム錯体触媒 / ヒドロアミノ化反応 / 酸化的アミノ化反応 / アミノアルキン / アミノアルケン / N-複素環化合物 / 環状イミン |
Research Abstract |
1.ルテニウム錯体触媒を用いるアミノアルキン類の分子内ヒドロアミノ化反応 アミノアルキン類の分子内ヒドロアミノ化反応は、種々の生理活性物質の重要な合成中間体となる含窒素複素環化合物の簡便かつ直接的な合成法であり、これまでにもPd、Rh、Au、Ti、およびランタニド触媒等、多岐にわたる金属触媒で進行することが報告されてきた。しかしながら、ランタニド触媒を除き、その反応機構は金属配位不飽和結合へのアミンの求核攻撃により進行するものであり、アミノ基N-H結合活性化、不飽和結合の挿入、還元的脱離により進行する例は報告されていない。当研究室では既に、ルテニウム錯体触媒を用いるヒドロアミノ化反応の最初の例として、N-芳香族置換アミドの末端アルキンへの付加反応による新規エナミド誘導体合成法を見出し報告している。さらに最近では、低原子価ルテニウム錯体とアミン類との量論反応について錯体化学的に詳細な検討を行っており、本研究ではこれらの知見を基に、一酸化炭素およびフマル酸ジメチルといったπ酸性配位子を有する低原子価ルテニウム錯体、Ru_3(CO)_<12>やRu(η^6-cot)(dmfm)_2[cot=1,3,5-シクロオクタトリエン、dmfm=フマル酸ジメチル]がアミノアルキン類のアミノ基N-H結合の活性化を経る分子内ヒドロアミノ化反応に高い触媒活性をし、対応する環状イミンが高収率で得られることを見出した。 2.ルテニウム錯体触媒を用いるアミノアルケン類の分子内酸化的アミノ化反応 遷移金属錯体触媒を用いるアミノアルケン類の分子内ヒドロアミノ化反応はアミノアルキン類の反応に比べて極めて困難であり、さらにより困難な分子内酸化的アミノ化反応の報告例はほとんどない。本研究では、先のアミノアルキン類の分子内ヒドロアミノ化反応をアミノアルケン類へと発展させる過程において、炭酸カリウム、および酢酸アリル共存下、新規ルテニウム触媒系[RuCl_2(CO)_3]_2/dppp [dppp=1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]を用いることにより、アミノアルケン類の分子内酸化的アミノ化反応が良好に進行し、対応する環状イミン類が高収率かつ高選択的に得られることを見出した。本反応では、Pd錯体触媒を用いる分子内酸化的アミノ化反応で報告されているような、アミノ基の求核性を下げるためのトシル基の導入や、酸性条件下で反応を行うという必要は全くない。本反応は高価なアミノアルキン類を用いることなく、安価なアミノアルケン類から環状イミン類、およびインドール類を直接合成する有機合成上、極めて有用な反応である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Teruyuki Kondo: "Ruthenium-Catalyzed Intramolecular Hydroamination of Aminoalkynes"Journal of Organometallic Chemistry. 622・1-2. 149-154 (2001)
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[Publications] Teruyuki Kondo: "Ruthenium-Catalyzed Intramolecular Oxidative Amination of Aminoalkenes Enables Rapid Synthesis of Cyclic Imines"Journal of the American Chemical Society. 124・2. 186-187 (2002)