2003 Fiscal Year Annual Research Report
9族遷移金属錯体を触媒とする多成分一挙結法の合成化学的展開
Project/Area Number |
13450368
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 勇 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80023266)
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Keywords | ロジウム錯体 / シリルホルミル化 / ラクトン環形成 / 位置選択的アリル位置換 / 双環性ケトン骨格形成 |
Research Abstract |
本研究は9族遷移金属錯体を触媒とした中性条件下での、多成分一挙連結法の開発とその合成化学的展開を目的とする。この目的を達成するため本年度は、1)1,6-ヘプタジイン誘導体を基質とするRh触媒を用いた環化シリルカルボニル化における生成物選択性制御、2)Rh触媒の存在下、α,β-不飽和カルボニル化合物、ヒドロシランからその場で調製される求核剤を利用したアリル位置換反応における位置選択性の制御、3)シリルカルボニル化生成物であるラクトン骨格の合成ブロックとしての応用、展開に焦点を合わせた。その結果、1)においては、Rh_4(CO)_<12>を触媒として、一酸化炭素加圧下で等モル量のN,N-ジイソプロピルエチルアミンを存在させると、1,6-ヘプタジイン骨格とヒドロシランから一挙にビシクロ[3.3.0]オクテン^<1,5>-3-オンが高収率かつ98%以上の選択性で得られるまでに改良できた。また、2)においては、反応基質である非対称置換したアリルエステル類のアリル末端炭素上にあらかじめトリアルキルシリル基を導入しておけば、ほぼ完全に置換位置選択性を制御することができた。位置制御支配因子としての役割を果たしたシリル基は特異的にプロトンに置換できることも併せて実証し、本方法が非対称置換アリルエステル類の置換反応における位置制御のための手法として有効であることを示した。さらに3)では、Rh触媒存在下で、ホモプロパルギル型アルコールおよびビスホモプロパルギル型アルコールから簡便な単一槽反応でのラクトン環形成が可能になった。ここで合成されたスピロ型ラクトン骨格は水素添加、引き続く骨格異性を組み合わせることにより、容易に双環性ケトンに導くことができた。この結果は環状ケトンから双環性ケトン骨格形成のための新規ルートが開拓されたことを示し、合成化学的にもきわめて大きな意味を持つことになる。
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