2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13450369
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
融 健 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (00163957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 修一 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (20335087)
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Keywords | 軸不斉 / 回転異性体 / 不斉合成反応 / スルホキシド / トリイソプロピルフェニルスルフィニル基 / ナフタレン / イミン / キラルアミノ化合物 |
Research Abstract |
本研究では、これまでに全く検討されていない炭素-硫黄結合軸の軸不斉を利用した不斉反応場の構築を行い、従来とは異なる方法論の画期的な不斉合成反応を開拓する。平成14年度は、[1-(2,4,6-トリイソプロピルフェニルスルフィニル-2-ナフチル]メタンイミンに対するメチルリチウム、ビニルリチウム、フェニルリチウムの付加反応を検討し、いずれも高収率で進行し、唯一つの(Rs^*,S^*)ジアステレオマーを与えるという高立体選択性を示すことを明らかにした。この高立体選択性の発現はスルフィニル基を導入した反応基質において、静電的、立体的な効果による炭素-硫黄軸の軸不斉の制御に起因することが次のことからいえる。1)スルフィニル基の置換基が」フェニル基、メシチル基、トリイソプロピルフェニル基と嵩高くなるに従い立体選択性が向上する。2)第3級ブチルスルフィニルナフチルメタンイミンへのメチルリチウム付加反応では61:39のジアステレオマー比で生成物を与える。低温でのnmrは63:39の比で回転異性体が存在することを示し、この反応では、軸不斉回転異性体から付加生成物を与えたことを示した。3)[1-(2,4,6-トリイソプロピルフェニルスルフィニル-2-ナフチル]メタンイミンは低温でのnmrスペクトルで唯一種類のシグナルしか示さず、回転異性体が一方偏っていることを示唆した。また、ぺり8位の化学シフトから回転異性体の構造が推定された。以上より、[1-(2,4,6-トリイソプロピルフェニルスルフィニル-2-ナフチル]メタンイミンの付加反応はキラルスルホキシドにより誘起されたC-S軸不斉により高立体選択性が発現したことがわかった。また、反応後、スルホキシドを容易に除去できることから、本反応はアトロープ異性体を利用した光学活性アミノ化合物の合成法となった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Shuichi Nakamura, Hiroki Yasuda, Takeshi Toru: "Diastereoselective reaction of [1-(2,4,6-triisopropylphenylsulfinyl)-2-naphthyl]methanimines via diastereomeric rotamers"Tetrahedron : Asymmetry. 13. 1509-1518 (2002)