2002 Fiscal Year Annual Research Report
NaHを用いた新規連続的交差アルドール・ティシュチェンコ反応
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13450373
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
斎藤 清機 岡山大学, 工学部, 教授 (60033239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 彰彦 岡山大学, 教育学部, 助教授 (10263617)
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Keywords | 置換シクロヘキサン-1,3-ジオン / (±)-メセンブリン / アンモニウムヒドロキシド / 触媒的アルキニル化 / プロパジル炭素陽イオン / エノールシリルエーテル / 炭素・炭素結合生成 |
Research Abstract |
前年度の研究の結果、t-BuOHが単純ケトンとα,β-不飽和エステルとの連続マイケル・クライゼン反応によるシクロヘキサン-1,3-ジオン骨格合成の効果的な塩基であることを見いだし、シクロヘキサン-1,3-ジオンの一般的な合成法が始めて確立された。この発見に関連して更に興味深いことは、αとα'位が等価でない非対称単純ケトンとα,β-不飽和エステルとのマイケル付加反応においては、ケトンから発生させた熱力学的平衡にあるエノラートの内、より熱力学的に安定なエノラートが求核剤となる事実である。従って、置換シクロヘキサン-1,3-ジオンを望む構造で合成することが可能となった。更に興味深いことには、反応系内にアルデヒドを共存させれば、熱力学的に不安定なエノラート、すなわち速度論的エノラートが求核剤となり、マイケル付加反応において求核剤となる熱力学的に安定なエノラートは、決してアルデヒドを攻撃しない。このように、これまで見過ごされていた興味深い事実が新しい可能性を伴って認識されることとなった。これらの実験事実は一見単純に見えるけれど、極めて大きな炭素6員環合成の新しい可能性を提供する。そのことを例証するために上記のシクロヘキサン-1,3-ジオンの一般的な合成法を機軸とする(±)-メセンブリンの合成を設計し、実際に検討した結果、13行程で全収率38%という驚異的な結果を達成した。この結果を踏まえて、アルツハイマー治療薬の一角として注目されているギャランサミンの合成へと展開することとした。 一方、アンモニウムヒドロキシドを塩基とするケトンとアルデヒドの触媒的アルキニル化反応を見い出し報告した。更にプロパジル炭素陽イオンの反応にも目を向けた結果、エノールシリルエーテルとの簡便な炭素・炭素結合生成反応を見い出した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Ishikawa, T.Aikawa, Y.Mori, S.Saito (T.Ishikawa): "Lewis Acid-Catalyzed Nucleophilic Substitutions of Propargylic and Allylic Silyl Ethers with Enol Silyl Ethers"Organic Letters. 5. 51-54 (2003)
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[Publications] T.Ishikawa, T.Mizuta, K.Hagiwara, T.Aikawa, T.Kudoh, S.Saito (T.Ishikawa): "Catalytic Alkynylation of Ketones and Aldehydes Using Quaternary Ammonium Hydroxide Base"The Journal of Organic Chemistry. 67(in press). (2003)