2002 Fiscal Year Annual Research Report
新しい固体^<19>F-NMR法を用いたフッ素化高分子の構造とダイナミックスの解明
Project/Area Number |
13450387
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安藤 慎治 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00272667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 勲 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20016637)
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Keywords | 固体NMR / フッ素化高分子 / 高分子構造 / 分子運動性 / 交差分極 / 緩和時間 / ポリフッ化ビニリデン / ポリフッ化ビニル |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、固体^<19>F MAS NMRと^1H-^<19>F CP/MAS NMRを用いたフッ素化高分子の構造解析の方法論開拓を目的として、これらの手法を新たに(1)エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、(2)フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体(P(VDF/TrFE))、(3)ポリフッ化ビニリデン/ポリメチルメタリレートのブレンド物(B(PVDF/PMMA))に適用し、(1)〜(3)の試料における結晶部分と非晶部分のスペクトル分離を高精度に行って、I.各成分の強度比から結晶/非晶分率と構造異性を、II.共鳴位置(化学シフト)から結晶部分の立体構造(主鎖のコンホメーシヨン)を、III.^1H-^<19>F間のCP動力学と磁気緩和挙動の解析から結晶部でのF-H原子間距離、結晶多形ごとの運動性の違い、結晶部と非晶部の分子運動性の違いなどに関して、以下のような情報を得た。 (1)では、これまで分離が困難であった結晶部と非晶部の信号が120℃以上で分離すること、及びDipolar Filter法により非晶部を選択的に観測できることを見出し、結晶部がほぼトランス連鎖であること、非晶部のゴーシュ分率が増加すると低磁場シフトすること等を明らかにした。 (2)では、強誘電【double arrow】常誘電転移が起こるキューリー温度(Tc:110℃)近傍における緩和時間の解析から、常誘電相の特徴と言われる分子長軸回りの回転運動がTcよりも10℃以上低温で起こり始めること、その回転運動はVDF分率の多い部分から始まること等を明らかにした。 (3)では、PMMA分率が30%以下だとPVDFは純粋なα晶だが、35〜40%ではβ晶とともにこれまで観測されていない未知の結晶相が現れること、45%〜50%では再びα晶が支配的となるとともに未知の結晶が消滅し、55%以上では完全に相溶した非晶となることを明らかにした。 来年度は観測対象をペルフルオロ高分子やそのブレンドの構造解析に拡張する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 龍野宏人, 安藤慎治: "固体^<19>F-MAS NMRを用いたパーフルオロ高分子のキャラクタリゼーション"高分子論文集. 61(印刷中). (2003)
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[Publications] P.Hazendonk, R.K.Harris, S.Ando, P.Avalle: "The DIVAM Sequence, Selective Excitation of Both Rigid and Mobile Domains in Fluoropolymers'"J. Magnetic Resonance. 161(印刷中). (2003)
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[Publications] S.Ando, K.Aimi: "Solid State ^1H→^<19>F/^<19>F→^<1>H CP/MAS NMR Study of Poly(vinylidene fluoride) and Ethylene -tetrafluoroethylene Copolymer"Preprints of IUPAC Polymer Conference on the Mission and Challenge of Polymer Science and Technology (IUPAC-PC2002). 410 (2002)
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[Publications] S.Ando: "Solid State ^<19>F MAS and ^1H→^<19>F CP/MAS NMR Study of PVDF and VDF-containing Fluoropolymers"Preprints of 10^<th> KAIST-TIT Joint Symposium on Macromolecular Science and Technology. 20 (2002)
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[Publications] S.Ando, R.K.Harris, U.Scheler: "Supplement of Encyclopedia Nucl. Magn. Reson., Vol.9 (Advances in NMR), Fluorine-19 NMR of Solids Containing Both Fluorine and Hydrogen"John Wiley & Sons, Chichester, UK. 20 (2002)