2002 Fiscal Year Annual Research Report
排除体積効果に基づく棒状高分子の遂次液晶相転移に関する実験的考察
Project/Area Number |
13450389
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Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
渡辺 順次 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90111666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸木田 雅利 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30301170)
川内 進 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80204676)
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Keywords | 棒状高分子 / ポリシラン / ポリペプチド / 液晶 / コレステリック液晶 / スメクチック液晶 / カラムナー液晶 / 逐次相転移 |
Research Abstract |
生体系において、棒状高分子はその骨格構造をなす部位で様々な組織体を形成している。そしてその自発的な構造成長の場として、ネマチック液晶が直接関わっていることは、フローリー格子理論、オンサガーの排除体積理論が予言し、また実験によっても明らかにされてきている。一方、生体系ではネマチック配向相(より具体的にはコレステリック相)に基づくよりもはるかに精緻な構造の組織体が存在し、より高次な秩序を持つ構造に自発的に発展するための更なる相転移の解明が必要となってきている。 この数年来、我々はこの解明を行う上での適切な材料の探索を心がけ、光学活性アルキル側鎖を有するポリシランが最もふさわしい棒状高分子であることを確認した。それは1)安定に棒状形態(一残基あたりの進みは0.19nmで、7残基で3回転のヘリックス形態)を有し、2)各種溶媒に容易に溶解し、3)炭素数nが10以上のアルキル鎖を導入すると、リオトロピック液晶に加え、サーモトロピック液晶も形成し、4)コレステリック相以外にも、スメクチック相、カラムナー相を安定に示すなどの特徴を持つ。さらに興味あることは、本試料が、無極性高分子であり、そのため斥力相互作用に比して引力相互作用を無視し得る系となり、相転移に対する議論を単純化できる。また溶液中で強い会合がおこらないため、溶液からの沈澱分別法さらにはGPCによる分子量分別法で簡単にかつ厳密に単分散に近い高分子を得ることができることなども判明した。そしてこれらの素材を基盤にしたサーモトロピック系、さらにはリオトロピック系液晶で、コレステリック相、スメクチック相、カラムナー相の存在を確認し、それらの相挙動を温度、濃度、分子量の関数として理解するとともに、単純棒状高分子が、温度、濃度変化により自発的に示すであろう構造成長の精繊なメカニズムを明らかにすることができ、平成13年〜14年の二年間科学研究(B)の助成の研究目的を達成することができました。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Okoshi, H.Kamee, G.Suzaki, M.Tkita, M.Fujiki, J.Watanabe: "Well-defined phase sequence including cholesteric, smectic A and columnar phases, observed in thermotropic LC system of simple rigid-rod helical polysilane"Macromolecules. 35. 4556-4559 (2002)
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[Publications] B.Mettout, P.Toledano, H.Takezoe, J.Watanabe: "Theory of Polar Biaxial Nematic Phases"Phys. Rev.. E66. 031701-031705 (2002)
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[Publications] K.Okoshi, G.Suzaki, H.Kamee, M.Tokita, J.Magoshi, J.Watanabe: "Smectic liquid crystal observed in thermotropic system of rigid-rod poly(γ-octadecyl L-glutamate)"Jpn. J. Appl. Phys.. 41. L720-L722 (2002)