2001 Fiscal Year Annual Research Report
超音速航空機排気中の窒素酸化物による高層大気オゾンの減少予測
Project/Area Number |
13450396
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 弘敏 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30114466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿貫 忠晴 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00182965)
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Keywords | 超音速航空機 / オゾン / 窒素酸化物反応 / 赤外分光測定 / オゾン濃度予測 |
Research Abstract |
航空機エンジンから排出される窒素酸化物(NOx)が大気中のオゾン(O_3)と反応することによるオゾン消失が、次世代超音速航空機の実現に際しての環境適合性課題の一つである。本研究は、高層大気中のオゾン保全の観点に立ち、超音速機から排出される窒素酸化物(NOx)の量に対して、どの程度のオゾン(O_3)が消失するかを予測し、社会的なアセスメントに役立たせようとするものである。 本年度の研究成果は次の通りである。 1.高層大気を模擬したスペースチャンバ(研究代表者の所属する専攻に設置されている大学院最先端環境試験装置)内にオゾンと窒素酸化物を投入し、その反応で生じた成分を測定することにより、当該反応の特性を知る。成分の測定は、本研究で購入したフーリエ変換赤外分光光度計を用いて行うが、その購入に慎重を期したため実験開始がやや遅れ、成果が出始めるまでに若干の時間が必要である。今後は、この方法により、窒素酸化物の量によるオゾン減少量を測定し、実際の超音速機の飛行シナリオに即したオゾン減少量の予測を行う。さらに紫外線照射によって生成するオゾンの存在の効果も研究する。 2.高度方向のみを考える1次元モデルを用い、窒素酸化物投入量および航空機飛行高度をパラメータとして、地球大気中のオゾンと窒素酸化物の反応を計算機でシミュレートした。この結果、次の結果が得られた。(1)航空機からの窒素酸化物排出により、オゾンは高高度で減少し、低高席で増加する。(2)窒素酸化物排出が多いほどオゾン濃度に対する影響も大きい。 さらに、消失したオゾンを修復するために、オゾン分子あるいは酸素原子を大気中に投入する方法についてもシミュレーションを行った結果、投入量および投入高度にかかわらずオゾン量はほとんど変化せず、したがって、この方法による修復は有効でないことがわかった。今後は、シミュレーションの精度を上げることを検討する。
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