2002 Fiscal Year Annual Research Report
フラクタルモデルによる岩盤不連続面せん断力学特性の寸法依存性に関する研究
Project/Area Number |
13450417
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 澄彦 京都大学, 工学研究科, 助手 (30273478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 敏明 京都大学, 工学研究科, 教授 (90056151)
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Keywords | 岩盤不連続面 / せん断力学特性 / 寸法効果 / かみ合わせ / せん断試験 / フラクタル / 高精度シリンジポンプ |
Research Abstract |
岩盤不連続面(以下,単に不連続面という)のせん断力学特性が寸法依存性を示すことは,多くの研究により明らかにされてきている。この原因の一つとして不連続面の表面形状が一般的に自己アフィンのフラクタルであり,不連続面の表面形状を構成している凹凸の勾配が凹凸寸法の増加にしたがって緩やかになることが考えられる。また,不連続面の寸法が大きくなってもかみ合っている凹凸の寸法が同じであればせん断力学特性に対する表面形状の影響は同じと考えられる。したがって,不連続面のせん断力学特性の寸法効果は,不連続面そのものの寸法よりも不連続面上のかみ合っている凹凸の寸法に依存するものと考えるのが妥当である。 本研究ではこのことを確かめるため,昨年度に設計製作した高精度シリンジポンプと油圧ピストンセル,剛性枠およびせん断箱からなる簡易せん断試験装置を用いてせん断試験を実施した。せん断試験に用いた供試体は,フラクタルモデルを用いてかみ合わせ寸法を2mm,4mm,6mmに制御し,かみ合っている凹凸の数を同程度とするため,それぞれの不連続面寸法を30mm×30mm,60mm×60mm,90mm×90mmとしてモルタルを用いて人工的に作製したものである。せん断試験の結果,かみ合わせ寸法の増加にしたがってせん断強度が低下すると同時に最大せん断強度が発現する時のダイラタンシーの増加量が小さくなる傾向が観察された。また,せん断試験後の供試体において破壊した領域を通過するせん断方向の不連続面表面プロファイルを調べ,それぞれの寸法の供試体でかみ合っている凹凸の平均勾配を比較するとかみ合わせ寸法が増加するにしたがってその平均勾配が小さくなっていることを確認することだできた。このことから,不連続面のせん断力学特性の寸法効果は,不連続面そのものの寸法よりも不連続面上のかみ合っている凹凸の寸法に依存するものと考えることができることがわかった。
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