2002 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷地水稲における収量性の品種間差異および年次変動とその要因の解明
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13460006
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
黒田 栄喜 岩手大学, 農学部, 教授 (90170125)
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Keywords | 水稲 / 乾物生産 / 倒状指数 / 曲げ応力 / 断面係数 / 乾物密度 / 飼料用水稲品種 |
Research Abstract |
平成14年度は,東北地方中北部における主要普及品種である「あきたこまち」および「ひとめぼれ」と当地方を対象に最近育成された品種・系統および遺伝的背景の明瞭に異なる品種を供試し,農学部構内および附属農場の水田に前年度までと同様な方法で栽培し比較検討を行なった.得られた結果の概要は,以下の通りである. 1)2002年の坪刈収量は700〜770g/m^2であり,2001年度に比べて何れの品種も8〜12%程度収量レベルは低かった.主要な要因として,8月上旬から中・下旬に掛けての日照不足と低温に伴う登熟歩合の低下によることが示唆された. 2)前年度の結果を受けて出穂前および出穂後における光条件の相違が乾物生産および収量に及ぼす影響を検討するために,それぞれ約13〜20日間の遮光処理を行った.その結果,処理期間の違いはあるものの登熟期前半遮光の影響が強くあらわれ,無処理区に比べて前者は13〜16%,後者は25〜31%程度減収となり,何れの処理区においても登熟歩合の大幅な低下とm^2当たり籾数の減少とによっていた.なお,減収の程度には,「ふくひびき」は他の品種に比べて減収程度は小さかったものの,「あきたこまち」および「奥羽316号」は減収の程度がやや大きいことから,遮光に伴う減収の影響は品種によって異なることが推察された. 3)出穂期以降の乾物生産および穂重増加に及ぼす生育温度の影響を検討したところ,登熟期前半および中盤のいずれにおいても,全乾物重増加量と生育温度との間には一定の関係は認められなかったものの,生育温度の低下とともに穂重増加量は減少しており,出穂の遅い品種ほど温度の影響を強く受けていた. 4)2001および2002年の倒伏指数との間には有意な相関関係が認められたものの,2002年度のそれはいずれの品種もやや小さく,節間伸長期以降の天候の影響を強く受けていることが示唆された.また,飼料用水稲品種は,普及品種に比べて断面係数および曲げ応力がともに大きいことによって稈の挫折時モーメントが明らかに大きくなっていることがわかった.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Pham Quang Duy, et al.: "Rice cultivar differences in tillering and yield responses to nitrogen-free basal dressing and sparse planting density"日本作物学会紀事. 72巻・別1号. 26-27 (2003)
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[Publications] 阿部 陽 他: "寒冷地における遺伝子型の異なる水稲品種・系統の乾物生産および分配特性"日本作物学会紀事. 72巻・別1号. 40-41 (2003)
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[Publications] 黒田栄喜, Pham Quang Duy, 田中 大介, 平野 貢: "初期生育抑制栽培が水稲の1穂籾数の変動に及ぼす影響"日本作物学会東北支部会報. 45号. 33-34 (2002)
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[Publications] 黒田栄喜, 根城治彦: "寒冷地向け飼料用水稲品種・系統の乾物生産特性および稈の物理的性質について"日本作物学会紀事. 72巻・別2号(発表予定).