Furovirus属植物RNAウイルスの複製、病原性および伝搬性に関する研究

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13460020
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 白子 幸男 東京大学, アジア生物資源環境センター, 教授 (90143023)
• Keywords: Furovirus属 / ムギ類萎縮ウイルス / RNAリアソートメント / 欠失変異 / オオムギ葉肉プロトプラスト / ウイルスRNA複製 / 病原性 / 伝搬性

Research Abstract

Furovirus属のタイプ種であるムギ類萎縮ウイルス(Soil-borne wheat mosaic virus、SBWMV)は2分節性のプラス鎖RNAウイルスである。日本と米国の分離株は、生物学的性状が同一だが、コードするタンパク質のアミノ酸配列の相同性が63〜82%と遺伝学的に隔たっている。野生型ウイルスは穏やかのモザイク症状を感染コムギに示すが、野生型ウイルスを継代すると強a原性の変異型ウイルスが出現する。本研究では、日本産ムギ類萎縮ウイルスを用い、継代による欠失変異と病原性の増大との相関関係を明らかにした。接種源には感染性cDNAクローン由来のin vitro転写産物を用い、コムギ葉に接種し、数回継代した。その結果、RNA2の5'末端側にある外被タンパク質遺伝子の下流のリードスルー領域に欠失が生じ、コムギに対して激しいモザイク症状を示した。欠失は接種ごとに異なる領域に常にin frame生じ、外被タンパク質のC末端にはリードスルー領域のC末端側の短いペプチドが付加してた。リードスルー領謔へ自然界での菌伝搬性に必要とされることが示唆されていたが、この結果より、全身感染コムギ個体においても何らかの機能を有することが示された。一方、本ウイルスの複製を詳細に解析するためには、感染性cDNAクローン由来のin vitro転写産物とコムギないしはオオムギ葉肉プ鴻gブラストを用いた感染系の確立が必須である。本年度は、オオムギ(品種ミノリムギ)より葉肉プロトプラストを調整し、in vitro転写産物による感染系を確立した。今後、様々な変異体の細胞レベルでの複製機構の解析が可能となる。

Research Products

• [Publications] Miyanishi, M., Roh, S.H., Yamamiya, A., Ohsato, S., Shirako, Y.: "Reassortment between genetically distinct Japanese and US strains of Soil-borne wheat mosaic virus : RNA1 from a Japanese strain and RNA2 from a US strain make a pseudorecombinant virus"Archives of Virology. 147(印刷中). (2002)