2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子タギングによるフザリウム病原菌の病原性機構の解析
Project/Area Number |
13460022
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柘植 尚志 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (30192644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
並木 史郎 独立行政法人農業技術研究機構, 九州沖縄農業研究センター・地域基盤研究部, 主任研究官
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Keywords | 植物病原糸状菌 / Fusarium oxysporum / 病原性遺伝子 / REMI変異株 / アルギニン生合成 / ミトコンドリアキャリアー / 遺伝子発現制御因子 |
Research Abstract |
Fusarium oxysporumは、各種作物に萎ちょう性病害を引き起こす重要病原菌であるが、その病原性機構についてはこれまでほとんど明らかにされていない。先に申請者らは、形質転換ベクターによる遺伝子タギング法を用いて、メロンつる割病菌(F.oxysporum f. sp. Melonis)から43株の病原性変異株を分離した。本研究では、これら変異株における変異遺伝子を同定し、本菌の病原性機構の具体的な解明を目指す。本年度は、6株の変異株におけるベクター挿入領域を同定し、そのうちの3株について病原性関連遺伝子(ARG1、FOW1およびFOW2と命名)を特定した。 (1)ARG1 病原性が著しく低下したFMMP95-1株がアルギニン要求性であることを見出すとともに、その変異遺伝子としてARG1を同定した。ARG1はアルギニン生合成の最終段階を触媒するアルギニノコハク酸リアーゼをコードすることが明らかとなった。 (2)FOW1 病原性が著しく低下したB60株からFOW1を同定した。Fow1は酵母のミトコンドリアキャリアータンパク質と有意な相同性が認められた。緑色蛍光タンパク質との融合タンパク質を用いて、Fow1がミトコンドリア局在性であることを確認した。これまで、ミトコンドリアタンパク質をコードする遺伝子が病原性に関与するという報告はなく、FOW1が最初の例である。 (3)FOW2 病原性を完全に失ったB137株からFOW2を同定した。Fow2は糸状菌に特徴的なZn(II)2 Cys6ファミリーの遺伝子発現制御因子と相同性が認められた。現在、FOW2が制御する遺伝子群の探索を進めている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Namiki, F.: "Mutation of an arginine biosynthesis gene causes reduced pathogenicity in Fusarium oxysporum f.sp.Melonis"Molecular Plant-Microbe Interactions. 14・4. 580-584 (2001)
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[Publications] Inoue, I.: "Isolation of pathogenicity mutants of Fusarium oxysporum f.sp.melonis by insertional mutagenesis"Journal of General Plant Pathology. 67・1. 15-22 (2001)