2001 Fiscal Year Annual Research Report
長距離移動性昆虫の生理的・遺伝的特性と地理的変異・飛来源の解明
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13460023
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
藤條 純夫 佐賀大学, 農学部, 教授 (50011911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉賀 豊司 佐賀大学, 農学部, 助手 (00312231)
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Keywords | 長距離移動 / 相変異 / 遺伝的多型 / 地理的変異 / 飛翔エネルギー / ハスモンヨトウ / トビイロウンカ / トリアシルグリセロール |
Research Abstract |
本研究で対象とした昆虫は、ハスモンヨトウとトビイロウンカという海を越えた移動をすることが確実視されたり、そのように推察されている野菜・稲の大害虫である。本年度は、まず、ハスモンヨトウの幼虫を異なる密度で飼育した場合の終齢幼虫期の体色発現性が採集場所によって異なることを明らかにし、その中で最も顕著な変化を示した採集群を用いて、密度の生活史特性に及ぼす影響を調べた。その結果、低密度に比べて高密度で生育したものは、早期に、小型の、しかし翼荷重の小さな飛翔に適した形態を持ち、しかもトリアシルグリセロール(TG)に富んだ飛翔能力が高い成虫になること、さらに成虫は飛翔エネルギー源として、TG中の不飽和脂肪酸を利用することを明らかにした。雌蛾は羽化した3日以内に卵巣を発達させろので長距離移動性は疑問視されていたが、卵巣を最大に発達させたものでも、高い飛翔能力を持ち、長時間の飛翔後でも産卵能力は失われないことを示した。また、羽化して直ぐ交尾する系統の存在も明らかになり、そうした系統の雌蛾は交尾して、すぐ移動し、移動先で産卵することにより、大発生をもたらすことが示唆された。トビイロウンカでは、広範囲の生息密度で特定の体色・翅型を発現する系統を作出し。それらの系統間での生活史特性の比較を行った。その結果、幼虫期間、産卵前期間、寿命、卵期間、さらには飛翔エネルギー源であるTGのレベルおよび変動様相も、系統特異的に異なることが明らかになり、そうした形質が生息密度だけでなく、遺伝的な制御を受けていることが判明した。トビイロウンカの幼若ホルモンを同定し、その変動様相が系統間で異なることを明らかにし、遺伝制御との関連を指摘した。このように異なる地域で採集したハスモンヨトウおよびトビイロウンカにおいて、こうした形質を比較していくならば、飛来源の推定が可能と期待される結果を得た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yoshiga T, S.Tojo: "Effects of a juvenile hormone analog, methoprene, on the hemolymph titers of biliverdin-bindingproteins in the common cutworm, Spodopera litura"Applied Entomology and Zoology. 36・3. 337-343 (2001)
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[Publications] Bertuso, A.G., S.Morooka, S.Tojo: "Sensitive periods for wing development and precocius metamorphosis after precocene treatment of the brown planthopper, Nilaparvata lugens"Journal of Insect Physiology. 48・2. 221-229 (2002)
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[Publications] Bertuso, A.G, S.Tojo: "The nature and titer of juvenile hormone in the brown planthopper, Nilapalvata lugens in relation to wing morphogenesis and oocyte develpoment"Appied Entomology and Zoology. 37(in press). (2002)