2004 Fiscal Year Annual Research Report
異種昆虫の絹タンパク質を吐くカイコの分子育種と新繊維の創出
Project/Area Number |
13460025
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中垣 雅雄 信州大学, 繊維学部, 教授 (70135169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶浦 善太 信州大学, 繊維学部, 助教授 (10224403)
塩見 邦博 信州大学, 繊維学部, 助手 (70324241)
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Keywords | 分子育種 / カイコ / 蜘蛛 / トランスポゾン / 絹フィブロイン |
Research Abstract |
本研究の目的は,異種昆虫の絹タンパク質を吐くカイコの分子育種を行うこと,そしてさらに効率のよい分子育種の系を構築することである。これまで、カイコを殺さない大型昆虫ウイルスであるバキュロウイルスAcNPVを、遺伝子を組換えるトランスファーとして利用して、新しい風合いの絹を吐くカイコを創出することを試みてきた。しかし、十分な処理数の蚕を用いて実験したにもかかわらず、組換え蚕を作出することができなかったので、DNA型トランスポゾンであるpiggyBacの系を用いて、カイコの染色体DNAへの蜘蛛の横糸遺伝子の生殖細胞系転移実験を行った。蜘蛛の横糸は、伸縮性の高い糸で、3倍まで伸びる。蜘蛛は肉食で大量飼育が困難であること、蜘蛛に横糸だけを出糸させることは困難であるので、横糸の生産をカイコに行わせることは意味があると考えた。横糸の遺伝子が組込まれた不完全piggyBacを蚕のゲノムDNAに転移させると、転移した横糸遺伝子が発現し、発現した横糸タンパク質が繭中に含まれることを確認した。この転移した横糸遺伝子は、継代しても失われること無く、安定して維持できている。しかし、吐糸された繭糸の中の横糸タンパク質の含量は、総繭タンパク質量の1〜2%程しか含まれていなかった。蚕が吐く蜘蛛糸の比率をどの程度まで高められるかについて挑戦している。現在、縦糸、卵のう糸についても、蚕のゲノムDNAへの転移実験を行いつつある。
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