2001 Fiscal Year Annual Research Report
アポプラストで作用する無機元素の生理学・生化学-土壌ストレス(edaphic Stress)耐性作物育種のための基盤研究-
Project/Area Number |
13460031
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
間藤 徹 京都大学, 農学研究科, 助教授 (50157393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬 建鋒 香川大学, 農学部, 助教授 (80260389)
藤原 徹 東京大学, 農学生命科学研究科, 助手 (80242163)
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Keywords | ホウ素 / アルミニウム / カルシウム / 土壌ストレス / ペクチン / KDO合成酵素 / ラムノガラクツロナンII / マイクロアレイ |
Research Abstract |
本研究の目的は,高濃度の塩,低pH,アルミニウム過剰,カルシウム欠乏など,土壌に起因するストレス(edaphic stress)に対して耐性を持つ作物を育種するための基礎研究を行うことにある。間藤(京都大学農学研究科)はエンドウUDP-Xylose合成酵素タンパク質を精製し,そのアミノ酸配列情報を基に遺伝子を単離した。この遺伝子はそのDNA配列の類似性からラムノース2,4デヒドラターゼをコードしていると考えられてきたものであったが,精製酸素からの情報でUDP-Xylose合成酵素であることを明らかにした。さらにラムノガラクツロナンIIに特異的な2-keto-3-deoxy糖である3-deoxy-D-mannno-oct-2-ulosonate-8-phosphate synthaseの遺伝子をクローニングし,二つのアイソザイムが発現していることを見いだした。これらは根,地上部で別々に発現していた。藤原(東京大学農学研究科)はシロイヌナズナのホウ素吸収に関する突然変異株bor1-1株とマクロアレイ法を用いて実験を進め,ホウ素吸収に関係していると思われる遺伝子を同定した。この遺伝子の翻訳タンパク質は陰イオン輸送タンパク質と相同性が高かった。馬(香川大学農学部)はアルミニウムの根伸長阻害が,アルミニウムのペクチンへの結合によって生じることを明らかにした。その結合部位は,細胞膜近傍の分泌直後のペクチンであることを示した。さらにこの部位へのアルミニウムの結合が細胞が分泌するクエン酸,リンゴ酸,シュウ酸などの有機酸によって阻止され,それゆえにこれらの有機酸の分泌が植物のアルミニウム耐性に寄与していることを明らかにした。
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