2001 Fiscal Year Annual Research Report
ユーラシア・ステップにおける土壌有機物のダイナミックス-地球温暖化・砂漠化対策としての土地利用の適正化とは何か?-
Project/Area Number |
13460032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小崎 隆 京都大学, 農学研究科, 教授 (00144345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長縄 貴彦 島根大学, 生物資源学部, 助教授 (80183531)
矢内 純太 京都大学, 農学研究科, 助手 (00273491)
舟川 晋也 京都大学, 農学研究科, 助教授 (20244577)
谷 昌幸 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (00271750)
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Keywords | カザフスタン北部 / 穀作圃場 / ジオスタティスティクス / 潜在炭素無機化量 |
Research Abstract |
2002年度は、ウクライナ・ハンガリーにおける基礎調査、およびカザフスタン国穀作圃場における有機物資源の空間変動解析を行った。前者の試料については現在分析中であるので、ここでは後者について述べる。 2001年5月にカザフスタン北部の緩傾斜地にある大規模畑(14×5km、標高差35m)において1km間隔で表層土(0-15cm)を計70点採取し、土壌水分量、全炭素量、潜在炭素無機化量を分析し、その地点の標高を測定した。また、同年8月に同地点で植物体(コムギ、オオムギ他)を採取し、穂、茎葉、根の各画分の全炭素量を測定した。それらの結果にジオスタティスティクスの手法を適用し、セミバリオグラムによる空間依存性の解析とクリギングによる地図化を行った。 土壌の全炭素量は平均46.1tC/haであり、潜在炭素無機化量は平均3.1tC/haであった(全炭素量の6.8%)。一方、植物体の全炭素量は平均1.8tC/haであり、そのうち1.2tC/haが残渣として耕地に投入されていた。ここで、土壌の全炭素量は土壌水分量、標高に加え潜在炭素無機化量とも有意な正の相関を示した。また、植物体の全炭素量は土壌水分量と有意な正の相関を示した。従って、土壌及び植物に含まれる炭素はいずれも地形-水分との連環を示した。さらに、それらの空間依存性は土壌の全炭素量で高く(指標値Q=0.93)、潜在炭素無機化量、植物体の全炭素量で中程度であり(Q>0.5)、その依存距離は土壌の全炭素量、潜在炭素無機化量で7km以上、植物体の全炭素量で4kmであった。 以上の結果、作物生産環境に応じて、当生態系における炭素動態を適切に制御する地形適応型農業を実施することが可能であると判断された。
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