2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13460033
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
米林 甲陽 京都府立大学, 農学研究科, 教授 (00046492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 誠也 北海道大学, 地球環境科学研究科, 助教授 (20343014)
山本 修一 創価大学, 教育学部, 教授 (20182628)
宮島 徹 佐賀大学, 理工学部, 教授 (40128103)
児玉 宏樹 京都府立大学, 農学研究科, 助手 (60305563)
藤嶽 暢英 神戸大学, 農学部, 助教授 (50243332)
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Keywords | 水中フルボ酸 / 水環境標準試料 / DAX-8樹脂 / 琵琶湖湖水 / ^<13>C-NMR / ^1H-NMR / HP-SEC / 熱分解質量分析 |
Research Abstract |
天然水中に存在する「フミン物質」は、生体成分とその分解産物から化学的、生物的に合成された高分子化合物であり、地球表層の全ての環境中に存在する。近年、有害有機化合物による環境汚染が指摘され、その移動、拡散を防止し、排除する必要に迫られている。これら有害有機物は水環境中でフミン物質と、吸着・分配・可溶化などの相互作用をするため、環境中での動態を研究するには、フミン物質との相互作用を検討することが必須である。しかし、現在市販されているフミン物質は、すべて泥炭から抽出したと推定され、水環境中のフミン物質と化学的性質が全く異なることが知られている。 日本の代表的な水環境試料として、琵琶湖湖水を選び、水中フルボ酸標準試料の調製を試みた。そのため琵琶湖の環境基準点の一つ「北小松湖辺局」を採水場所に設定した。DAX-8樹脂の超大型カラム(φ50cm,樹脂20kg)・3種連結フィルター(10、1.0、0.45μm;50cm)・酸混合カラム・ダイアフラムポンプからなる水中フミン物質の自動濃縮システムを用いて湖水中のフミン物質を濃縮した。10μmフィルターは毎日、1.0μmは4日毎、0.45μmは8日毎に交換し、ろ過した湖水に塩酸を自動注入してpH2以下にし、DAX樹脂カラムに流下させ、フミン物質を吸着させた。4月中旬から5月上旬の間に151トンの湖水を処理した。フミン物質を吸着したDAX樹脂を研究室に持ち帰り、アルカリ溶出してフミン物質を回収し、pH1.2にしてフルボ酸と腐植酸を分離した。再び小型カラムに吸着溶出する処理を繰り返してフルボ酸の精製を行い、約15gのフルボ酸標準試料(2002年春試料)を得た。得られた試料について、元素分析、官能基分析(カルボキシル基、フェノール基、カルボニル基、全水酸基)、^<13>C-NMR、^1H-NMR測定、酸塩基滴定、分子量分布測定(HP-SEC)、熱分解質量分析、蛍光分析を行い、2001年秋試料と比較した。さらに、1月中旬から2月上旬の間に約200トンの湖水を処理しフミン物質を濃縮した。
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