2002 Fiscal Year Annual Research Report
酵母転写因子Yap1の翻訳後修飾による活性化の分子機序
Project/Area Number |
13460041
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井上 善晴 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70203263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井沢 真吾 京都大学, 農学研究科, 助手 (10273517)
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Keywords | Yap1 / Saccharomyces cerevisiae / グリオキサラーゼI / ジスルフィド結合 / グルタチオン / 酸化的ストレス / 転写因子 |
Research Abstract |
酵母転写因子Yap1は酸化的ストレスを負荷されると核に局在し、標的遺伝子の転写を活性化する。Yap1の核外輸送シグナル(NES)はC末端付近に存在し、そこはcysteine-rich domain(CRD)と呼ばれるCys残基に富む領域とオーバラップしている。これまでの解析から、酸化的ストレスによりYap1のCRD中のCys残基間で分子内ジスルフィド結合が形成されてCrm1との相互作用が阻害されることでYap1が核局在になることを明らかにしてきた。 本年度の研究により、メチルグリオキサール(MG)を代謝する酵素グリオキサラーゼIが欠損した酵母(glo1Δ)細胞内ではYap1が構成的に核に局在化していることを見い出した。その活性化は嫌気条件下でも観察され、また野生株とglo1Δ株の細胞内酸化度に差は認められなかったことなどから、glo1Δ株におけるYap1の構成的活性化は酸化的ストレスに依存したものではないと考えられた。また、glo1Δ株では細胞内MGレベルが上昇しており、大腸菌のg1oA遺伝子を発現させて細胞内MGレベルを低下させるとYap1の活性化が抑制された。一方、細胞外からMGを添加した場合、細胞内MGレベルの上昇と相関してYap1の核内への蓄積、ならびにその標的遺伝子の発現上昇が観察された。これらのことから、MGはYap1の活性化を引き起こしていると考えられた。 MGによるYap1の活性化がYap1分子そのものに作用するのか、あるいはYap1の核・細胞質間輸送に関わる因子に影響しているのかを、Yap1の核外輸送を担うexportinと同じCrm1によって認識されるprotein kinase inhibitorのNESをgreen fluorescent protein(GFP)と融合させたレポータータンパク質の細胞内局在性の解析を通して検討した。その結果、MGはYap1分子に作用することでその局在性を変化させていることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)