2003 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病因ペプチドの凝集機構の解明と凝集阻害剤の開発
Project/Area Number |
13460048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
入江 一浩 京都大学, 農学研究科, 助教授 (00168535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 孝彦 東京都老人総合研究所, 分子老化部門, 研究員 (40301791)
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Keywords | アルツハイマー / Aβ42 / βアミロイド / ベータシート / 凝集 / ターン |
Research Abstract |
アルツハイマー病は、主として42残基のアミロイドβペプチド(Aβ42)が、分子間でβ-シート構造をとることによって凝集し、その過程で神経細胞毒性を示すことにより発症すると考えられている。Aβ42の凝集においてβ-シート構造をとる部位を同定することは、その凝集阻害剤を開発する上で必要不可欠である。そこで、β-シート構造をとりにくくターン構造をとりやすいプロリン残基で系統的に置換したAβ42誘導体約30種を高純度で化学合成し、それらの凝集活性および神経細胞毒性を調べた。 昨年までの家族性アルツハイマー病におけるAβ42変異体の研究により、Aβ42は22位においてターン構造をとっていることが判明した。そこで22位を中心として15〜32位までを1残基ずつプロリンで置換したAβ42誘導体について検討を行った。その結果、15〜21位および24〜32位のプロリン置換体では凝集活性ならびに神経細胞毒性ともに野生型に比べて著しく低かったことから、Aβ42凝集体ではこれらの部位がβ-シート構造をとっていることが強く示唆された。また、C末端側のプロリン置換体についても同様に調べた結果、C末端3残基のプロリン置換体はほとんど凝集せず毒性も示さなかったことから、C末端数残基のβ-シート構造の形成がAβ42の活性発現にきわめて重要であることが明らかになった。それに対して、N末端側のプロリン置換体約10種の活性は、野生型Aβ42と同等であった。以上より、Aβ42は、22位および23位でターン構造を形成し、15〜21位および24〜32位で分子間β-シートを形成して凝集することが明らかになった。本研究によって提出されたAβ42の凝集モデルは、22位付近でターンを形成するという新しいものであり、Aβ42の凝集を阻害する化合物をデザインする上で基礎となるものである。
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Research Products
(1 results)