2001 Fiscal Year Annual Research Report
森林・湿原・酪農草地が陸上-湖沼生態系の溶存物質動態に及ぼす影響
Project/Area Number |
13460060
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柴田 英昭 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (70281798)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 滋 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (80250497)
吉岡 崇仁 総合地球環境学研究所, 助教授 (50202396)
大手 信人 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10233199)
高木 健太郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助手 (20322844)
吉田 俊也 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助手 (60312401)
|
Keywords | 生物地球化学 / 水質 / 集水域 / 溶存成分動態 / 窒素循環 / GIS / 土地利用変化 / 森林流域 |
Research Abstract |
異なる植生、土地利用といった立地環境が集水域の溶存成分動態に及ぼす影響を解明するための現地観測を開始した。今年度は比較に用いる実験流域の選定と水文観測体制の立ち上げ、複数流域の河川水質のスクリーニングを実施した。観測流域は北海道北部のシュマリナイ湖集水域に設置した。天然森林流域、酪農草地流域、湿原流域にそれぞれ量水堰および自動水位観測装置を設置し、水質・水文観測を開始した。上流から下流にかけての水質変化に着目すると、下流域に酪農草地を有している流域では硝酸イオン濃度が若干上昇するのに対し、下流に湿原を有する流域では硝酸イオン濃度が低下する傾向にあった。酪農草地では肥料成分の溶脱による硝酸負荷が、湿原地帯では脱窒など、何らかの窒素除去機構が存在していることが示唆された。さらに、湿原地帯では溶存有機炭素濃度も上昇しており、それに伴い溶存鉄やアルミニウム濃度も上昇する傾向にあった。 また、シュマリナイ集水域における23流域の河川水質調査を行い、水質の流域間変異に及ぼす立地環境要因の解析を行った。解析に際してはGISおよび国土数値情報を利用して、各流域のさまざまな地形要因(流域面積、標高、傾斜など)を集計し、水質成分との相関分析を行った。その結果、河川水中の塩基性カチオン濃度は流域基岩の化学性と関係が深く、硝酸イオン濃度は傾斜が急な流域ほど高い傾向を示した。これは流域の地中内における水フローパスが傾斜と密接な関係にあることを示唆しており、斜面が急であるほど、土壌表層に蓄積されている硝酸イオンが河川へと溶脱しているものと考えられた。 来年度は出水に伴う陸上-湖沼生態系での溶存成分濃度の変化や、GISを用いた流域の植生要因の解析、さらにはシュミレーションモデルを用いた溶存成分流出予測などの解析を行う予定である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] H. Shibata et al: "Importance of Internal Proton Production for the Proton Budget in Japanese Forested Ecosystems"Water Air and Soil Pollution. 130. 685-690 (2001)
-
[Publications] M. Ozawa, H. Shibata, F. Satoh, K. Sasa: "Effect of Snowmelt on Annual Element Budget of Soil in a Cold, Snowy Forested Ecosystem"Water Air and Soil Pollution. 130. 703-708 (2001)
-
[Publications] Ohte, N., Tokuchi, N., Shibata, H., Tsujimura, M., Tanaka, T.: "Hydrobiogeochemistry of Forest ecosystems in Japan"Hydrological Process. 15. 1771-1789 (2001)
-
[Publications] N. Ohte et al.: "Comparative evaluation on nitrogen saturation of forest catchments in Japan and north America"Water Air and Soil Pollution. 130. 649-654 (2001)
-
[Publications] Shibata, H., Kuraji, K., Toda, H., Sasa, K.: "Regional comparison of nitrogen export to Japanese forest streams"The Scientific World. 1. 572-580 (2001)
-
[Publications] H. Shibata, H. Mitsuhashi, Y. Miyake, S. Nakano: "Dissolved and particulate carbon dynamics in a cool-temperate forested basin in northern Japan"Hydrological Process. 15. 1817-1828 (2001)