2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市近郊林における野生生物管理の手法開発に関する総合的研究
Project/Area Number |
13460062
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
青井 俊樹 岩手大学, 農学部, 教授 (70125277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 和衛 (伊藤 和衛) 岩手大学, 農学部, 助教授 (70258804)
國崎 貴嗣 岩手大学, 農学部, 講師 (00292178)
東 淳樹 岩手大学, 農学部, 講師 (10322968)
平野 紀夫 岩手大学, 農学部, 助教授 (40092308)
佐藤 淳 岩手大学, 農学部, 助手 (30250632)
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Keywords | ニホンカモシカ / 都市近郊林 / テレメトリー調査 / 河畔林 / スギ高齢人工林 / 寄生虫調査 / 糞中DNA分析 / 雌雄判別可能 |
Research Abstract |
生態調査:主として岩手大学農学部付属滝沢演習林およびそれより連なる四十四田ダム湖沿いの森林、さらにはその下流の北上川沿いの河畔林において、平成16年3月から17年2月まで、継続してカモシカの行動圏、土地利用などについてフィールド調査をおこなった。特に前年度に生け捕りに成功し、発信機を装着した個体の追跡を、電池が切れた6月までの継続的追跡に成功し、多くの知見を得ることができた。調査個体は、16年2月までは一貫してダム湖沿いのきわめて狭い範囲内の森林に定着していたが、3月に一気に行動圏を移動および拡大した。これは、それまでの親の行動圏に隣接するエリアからの分散行動と考えられた。あらたな行動圏は、ダム湖沿いの森林の南部に隣接する、北上川沿いの河畔林内が中心であった。行動圏の拡大にともない、人間の居住域や、リンゴ園などのすぐ脇をしばしば移動に利用していたが、河畔林にうまく隠れて行動するため住民に発見されることはまったく無かった。このことから、都市近郊林における野生動物の生息地の管理の方法として、生息地を連絡する移動ルートとして、河畔林の保全・管理の重要性が示唆された。また、カモシカのタメ糞の分布調査を前年度に続いておこない、タメ糞場として利用する環境として、スギの成熟した人工林が有意に選択されていることが明らかになった。これはスギ人工林が風雪などをさけるシェルター効果を果たしていること、間伐が適切におこなわれているこれらの林分は、カモシカのエサ資源も多いため、カモシカの利用環境として選択されていると考えられた。 疫学・生理学的調査:岩手県および秋田県に生息するニホンカモシカについて、死亡個体における寄生虫学的検索を行ったところ、7種の外部寄生虫および14種の内部寄生蠕虫が検出された。また滝沢演習林内に生息するカモシカの寄生虫保有状況を糞便検査によって調べた。その結果、演習林のカモシカは県内の他地域に比べて、検出された寄生虫種は少なかった。採取地(溜め糞場)の違いは検査結果と相関しており、各個体の縄張りや接触状況を糞便検査の結果からある程度推測することが可能であると思われた。次に、雌雄判別、個体識別、および親子鑑定など保護管理にとって非常に有効な情報を得るために、糞からのDNA精製法と雌雄判別法を検討した。盛岡市周辺の死亡個体、および動物園や保護センターにて飼育あるいは一時保護されていた生存個体、さらに野生捕獲個体の合計51頭をサンプルとして実験に使用した。その結果、用いた全てのサンプルで200〜300bp付近に、雌では1本のバンドを持つホモ(AMEL XX)、雄では2ないし3本のバンドを持つヘテロ(AMEL XY)の明瞭なバンドパターンが得られ、DNA雌雄判別が可能であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)