2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13460072
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
富田 文一郎 筑波大学, 農林工学系, 教授 (40012075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 健一 筑波大学, 農林工学系, 教授 (80015908)
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Keywords | 液化木材 / ポリエチレングリコール / グリセリン / 多価エポキシ化合物 / 動的粘弾性 / ガラス転移点 / 木材接着剤 |
Research Abstract |
スギを液化原料として、ポリエチレングリコールとグリセリンからなる混合溶媒と硫酸触媒を用いて種々の条件で液化反応を行い、その液化過程を多面的な分析手法で解析した。その結果、液化の進行にともないリグニン成分を含む高分子物質が生成して溶剤に可溶となった後、縮合反応により溶剤に不溶になること、またその間に低分子量の糖由来の分解物が多く生成することが判明した。これらの反応機構を明らかにするために、木材の主成分であるセルロースおよびリグニンを用いたモデル実験を行い、これまで推定されてきた反応、すなわち多価アルコールによる糖成分の加溶媒分解反応のほかに、リグニンのフェノール性水酸基やアルコール性水酸基により糖成分の解重合、低分子化反応が起こるとする新しい反応経路を推定した。これらの結果を総合して、50%程度の高い木材含有率を有する液化木材の調製条件が開発された。 次に、液化木材の利用開発を目的として高木材含有率の液化木材と種々の多価エポキシ化合物から種々の新規樹脂を合成したところ、硬化樹脂は動的粘弾性の温度依存性の測定から、幅広いガラス転移点を有し、相溶系であることが判明した。また、多価エポキシ化合物と液化木材の種類を選択することや混合条件、硬化剤添加量などの条件を変化させることにより様々なガラス転移点を有する異なった物性の硬化樹脂の調製が可能となった。さらに、硬化樹脂を木材接着剤として利用することを試み、その評価を行った結果、液化木材と油性エポキシ化合物から得られた樹脂は、市販エポキシ樹脂に匹敵する高い接着強さを示した。 現在、これらの結果を難廃棄木材に応用することを検討中である。
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Research Products
(1 results)