2003 Fiscal Year Annual Research Report
内湾近底層における微生物生産に関する研究.隔離実験による微生物ループの検証
Project/Area Number |
13460081
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Research Institution | PREFECTURAL UNIVERSITY OF KUMAMOTO |
Principal Investigator |
大和田 紘一 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (30013585)
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Keywords | 近底層 / 微生物ループ / 隔離装置 / 海水交換率 / 細菌 / 植物プランクトン / 鞭毛虫 / 環境因子 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、隔離装置を現場に設置して、現場実験を試みた。この隔離装置はバケツを逆さにしたような形で海底に固定するが、その上部の蓋の部分には直径150mm窓穴を開け、そこにゴム栓をしておき、環境因子測定の計測器や採水、採泥の時のみダイバーによりゴム栓を取り外して測定や試料の採取をすることとした。4個の隔離装置にはそれぞれ大きさの異なる窓(直径350mm,250mm,150mm,50mm)を本体の横側に各2個ずつ開け、これによって海底に設置したときの各装置内の海水交換率に差があるため、4個の隔離装置内の近底層においては大きな環境の差が出きることを期待した。 潮位差が最大で4mにもなる海域に隔離装置を設置するため、今年度も熊本県水産研究センターの協力の下にセンター地先の実験用の筏の下を選定した。2003年9月4日にセットに必要な準備を行い、9月5日に干潮時に水深が4.5mになる筏の下に海岸に沿って4個の隔離装置を約3mの間隔で4個設置した。9月10日に第1回目の調査後、台風の急激な接近のため、危険であるとの判断のもとに隔離装置を撤去せざるを得なかった。台風の通過後、9月18日に再設置し、それから10月20日に最終的に隔離装置の回収までの約1ヶ月間に約1週間の間隔で5回の隔離装置内の環境測定と近底層海水と堆積物の採取を行った。サンプリングや環境因子の測定は毎回、ダイバーの協力が必要であった。 表面水温が約29.4Cある時期で、海底の水温も28.5Cで隔離装置の中の近底層でも海底での酸素消費がかなり大きく、4個の隔離装置内の環境には大きな変化が認められた。しかし、台風の接近による一時的な避難のため、9月18日の隔離装置の再設置以後は装置間の環境にも大きな差が認められなくなってしまったこれは、秋口に入り、海底での微生物による酸素消費が減ったためか、それとも、土嚢袋13個と4本の竹竿、さらに4カ所からの碇によって固定を行っているが、それでも海底を通じての海水の交換があったために装置間での差が出来なかったのかは明らかではない。 プロジェクトの中では潮汐差の大きな有明海に面した沿岸海域にある程度大きな隔離装置をダイバーの援助のもとに設置することには成功した。しかし、台風のような気候要因や砂質海底での海水の微小な流れなどが環境因子としてかなり働くため、予想していた隔離装置間での大きな環境傾斜を実現することが出来なかった。そのため、初期に目的とした大きな環境傾斜のもとでの微小生物群集の動態については十分な成果は得られなかった。
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