2001 Fiscal Year Annual Research Report
東シナ海及び隣接海域産魚類の資源管理の基礎としての分類学的研究
Project/Area Number |
13460086
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中坊 徹次 京都大学, 総合博物館, 教授 (20164270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 圭介 水産総合研究センター, 西海区水産研究所, 独立行政法人職員
堀川 博史 水産総合研究センター, 西海区水産研究所, 独立行政法人研究室長
中山 耕至 京都大学, 農学研究科, 助手 (50324661)
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Keywords | 分類 / タチウオ / オキナワオオタチ / テンジクタチ / メバル / ミトコンドリア / 核DNA |
Research Abstract |
平成13年度は、いくつかの魚種について分類学的研究を行ったが、以下に記す成果を得たので報告します。 1)タチウオ属魚類は東シナ海及び南日本沿岸に普通にみられるが、これに複数種が存在していることが指摘されていたが、正確な研究結果は得られていなかった。研究の結果、Trichiurus japonicus(タチウオ)、Trichiurus sp.1(オキナワオオタチ)、Trichiurus sp.2(テンジクタチ)の3種が明確に区別された。これらのうち、Trichiurus sp.1(オキナワオオタチ)は新種であることが判明したので、現在、論文を作成中である。来年度には投稿を予定している。Trichiurus sp.2(テンジクタチ)については、南シナ海に分布する既知種の可能性が強いが、まだ詰めるには至っていない。 2)メバル属魚類は東シナ海日本沿岸、南日本沿岸に広く分布しているが、これらのうち変異が多いとして知られていたSebastes inermis(メバル)について研究を行った。Sebastes inermis(メバル)については形態と分子の分析により、従来より種内の変異といわれていた3型が、生物学的に完全な別種であることが判明した。メバルの分子についてはミトコンドリアと核の両方を分析した。ミトコンドリアは調節領域という進化速度の一番はやいところを分析したのだが、これに明瞭な相違がでずに、核DNAに相違がでた。これは種分化してから時間があまり経過していないという興味深い結果である。これらは2編の論文にして、現在学術誌に投稿中である。これらのメバル3型(種)の学名を決定しなければならないが、これについては次年度に研究を持ち越す予定である。
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