2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13460087
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
清原 貞夫 鹿児島大学, 理学部, 教授 (50117496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 潤三 鹿児島大学, 理学部, 教授 (20008923)
笠井 聖仙 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (30202005)
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Keywords | 味覚 / 味蕾 / 味覚神経 / 顔面葉 / 反射弓 / 摂餌行動 / ゴンズイ / ヒメジ |
Research Abstract |
餌を口でついばみ口腔内に取り込むための仕組みを明らかにするために、ゴンズイの顎骨運動について解析した。この魚は顎関節を支点として、下顎骨のみを動かして口を開閉を行い、顎関節は関節頭と関節窩の接触面が円柱面を形成し、一方向にのみ動く蝶番関節であることが分かった。この下顎骨を引き上げて口を閉める筋肉を4種類同定した。これらの筋肉は下顎骨の尾方基部に腱を介してつながっており、その機能から下顎内転筋1〜4と命名した。下顎内転筋を支配する運動ニューロンは三叉神経であり、その運動核には体部位局在性があることが分かった。三叉運動ニューロンは三叉感覚神経とモノシナプテックな反射弓を形成することも分かった。三叉運動ニューロンと味覚入力との反射弓は顔面葉を介するものと推察される。 ゴンズイとヒメジで第一次味覚中枢から上位中枢への投射経路を解析した。第一次味覚中枢の出力ニューロンはその中枢内に単独で散在する中型か大型のもので、これらの線維は第一次味覚中枢後方下部より延髄腹側に向かって伸長し、第二次味覚路を上行して小脳下部の橋に位置する第二次味覚核に両側性に入った。この核は横断面で見ると両端が球状に膨らみ吻方で交連線維により左右がつながっていた。細胞体の局在分布により、第二次味覚中枢は3〜4対の明瞭な亜核に分かれた。ゴンズイではここから第三次味覚中枢への投射も明らかにした。第二次味覚中枢からの出力線維はその前方下部より腹側へと向かい、そのまま腹側外方に向かいつつ上行し下葉の背側部に達して終わることが分かった。この部位はchannel catfishで同定されているnLBとnLTと推定され、自律神経系の中枢に多くの味覚入力が入ることを確認した。一方、第三次味覚中枢から第一次と第二次味覚中枢へのfeed-back投射も明らかになり、味覚情報は上行性に伝えられると共に、高次中枢から低次中枢に情報がfeet-backされており味覚情報の制御に貢献しているものと推察される。 ヒメジの触鬚の運動制御機構を明らかにするために、顔面運動核の解析を更に進めた。この核は前方と後方で大別することができ、触鬚の運動に関与する方は後方の核であることが分かった。この核のニューロンは樹状突起を外側腹方に伸ばし、顔面葉中間部と後方の下に発達した脳幹網様体に終わる。おそらくこの部位で顔面葉からの出力線維とシナプスを形成するものと推察される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山下恵美: "魚類の第一次味覚ニューロンの形態と分離の試み"日本味と匂学会誌. 10・3. 497-500 (2003)
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[Publications] 阿部紗都美: "ヒメジ触鬚味蕾の分布と神経支配様式の成長による変化"日本味と匂学会誌. 10・3. 501-502 (2003)
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[Publications] S.Kiyohara: "Barbel taste system in catfish and goatfish"Fish chemosense. in press. (2004)