2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13460089
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤本 健四郎 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00005620)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 和夫 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (10182015)
遠藤 泰志 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60194049)
|
Keywords | 共役高度不飽和脂肪酸 / 共役トリエン酸 / クシベニヒバ / ポリエン酸イソメラーゼ / ガン細胞毒性 / 酸化安定性 / 脂質代謝 / 血漿脂質低下作用 |
Research Abstract |
ドコサヘキサエン酸を始めとする高度不飽和脂肪酸からアルカリ異性化法により共役型高度不飽和脂肪酸を調製し、そのガン細胞に対する作用を検討した。その結果、共役型高度不飽和脂肪酸はガン細胞に対して致死作用を示すことが分かった。また、その作用ば共役トリエン構造を有する共役型脂肪酸で顕著なこと及び異性体の種類によって活性が異なることも明らかになった。こうした共役トリエン構造を有する高度不飽和脂肪酸の抗ガン活性については、植物油由来の共役型リソレン酸を用いることで確認した。一方、共役トリエン構造を有する高度不飽和脂肪酸はバルク系で極めて酸化されやすいことが本研究により示された。これらの高度不飽和脂肪酸に対する抗酸化剤としてはカテキンやトコフェロールの水溶性誘導体が効果的であった。ただし、共役トリエン脂肪酸を多く含む植物種子油(ニガウリ種子油)をラットに投与した場合の生体内での脂質過酸化の顕著な亢進は認められなかった。 紅藻クシベニヒバ(Ptilota pectinata)から抽出したポリエン酸イソメラーゼ活性を有する粗酵素をゲルろ過、DEAE-Sephadex、ヒドロキシアパタイトカラムを用いて精製し、SDS-PAGEにかけて単一バンドを与えたことからほぼ単離された考えられる標品を得た。本酵素のサブユニツトの分子量は約7万であり、分子量は約15万だったことから、本酵素は2量体からなっているものと考えられる。本酵素は、炭素数20の高度不飽和脂肪酸に対する活性が高く、5,7,9-位に二重結合をもつ共役トリエン酸を与えた。本酵素によってエイコサペンタエン酸から調製した共役酸は、アルカリ異性化により調製した共役酸と比較して、ガン細胞に対する致死作用に選択性が強く、特定の細胞に対して強い毒性を示した。 アルカリ異性化により調製した共役ドコサヘキサエン酸を飼料に1%添加してラットに与えたところ、天然型の脂肪酸よりも血漿脂質を有意に低下させた。共役酸は天然型の脂肪酸よりも組織にはリン脂質には取り込まれず、また、組織に蓄積されないでエネルギー源として代謝されやすかった。アラキドン酸由来のエイコサノイド代謝への影響は、天然型の脂肪酸の方が強かった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 藤本健四郎: "油脂構造が高度不飽和脂肪酸の酸化安定性に与える影響"科学と工業. 75(2). 53-60 (2001)
-
[Publications] Matsumoto, N., Endo, Y., Fujimoto, K., et al.: "The inhibitory effect of conjugated and polyunsaturated fatty acids on the growth of human cancer cell lines"Tohoku Journal of Agricultural Research. 52(1,2). 1-12 (2001)
-
[Publications] Lee, J.S., Endo, Y., Fujimoto, K et al.: "Effect of dietary tung oil on the growth and lipid metabolism of laying hens"J. Nutr. Sci. Vitaminol. 48(2)(印刷中). (2002)
-
[Publications] Suzuki, R., Noguchi, R, Ota, T., Abe, M., Miyashita, K, Kawada, T.: "Cytotoxic effect of conjhugated trienoic fatty acids on mouse tumor and human monocytic leukemia cells"Lipids. 36(5). 477-482 (2001)
-
[Publications] Suzuki, R., Nakao, K., Kobayashi, M., Miyashita, K.: "Oxidative stability of conjugated polyunsaturated fatty acids and their esters in bulk phase"J. Oleo Sci.. 50(6). 491-495 (2001)
-
[Publications] Noguchi, R., Yasui, Y., Suzuki, R., K.Miyashita, et al.: "Dietary effects of bitter gourd oil on blood and liver lipids of rats"Arch. Biochem Biophys. 396(2). 207-212 (2001)