2001 Fiscal Year Annual Research Report
WTO体制下の先進諸国における農協の革新と再編に関する総合比較研究
Project/Area Number |
13460099
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村田 武 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70030161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 忠義 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (20271794)
太田原 高昭 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (70002061)
甲斐 諭 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70038313)
中島 信 徳島大学, 総合科学部, 教授 (90105320)
松原 豊彦 立命館大学, 経済学部, 教授 (50165859)
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Keywords | 農協改革 / 農協再編 / 農政転換 / ヨーロッパの酪農協同組合 |
Research Abstract |
平成13年度の実施要領にもとづき、(1)研究会「農協改革・再編をどう考えるか・基礎討論」(7月14日)、(2)海外調査(デンマーク・ドイツ・イタリア、8月18日〜30日)、(3)国内農協調査(10月19日高知県馬路村農協、11月24日大分県耶馬渓町下郷農協)を実施した。 国内の農協については、農協二法の改正のもとにあって、広域合併とJAバンクをめざす主流においては、ともすれば「地域から農協が消えていく」危険性が広がり、他方で、非合併小規模農協にも、めざましい農産物マーケティングに成功している農協とともに、従来の産直の停滞のもとで新たなシステムの開発を模索せざるをえない農協が存在すること、したがって、いずれの方向においても、生産者と農協の現代的「協同」の前進なしには、協同組合理念の腐食が避けがたいことが明らかにされた。 欧州での調査は、3ヶ国とも酪農協同組合と酪農家に焦点を合わせた。デンマークについてはデンマーク協同組合連合会(コペンハーゲン)、ドイツについてはホーエンハイム大学(シュトットガルト)、イタリアについてはLEGA(モデナ支部)に要請して、調査趣旨を明確にしたうえで調査対象の農協と農家を選択してもらった結果、(1)デンマークとスウエーデンの大規模酪農協の合併で成立した国際農協「Arla Foods」が欧州トップの乳業メーカーとなっており、その競争力が酪農家の経営を支えていること、(2)ドイツでは、バーデンヴュルテンベルク州の小規模酪農協が厳しい競争条件のなかで、差別化商品の開拓で経営を存続させ、酪農家のなかには有機農業団体に加盟して有機酪農に生き残りをかける動きが広がっていること、(3)イタリアではロンバルディア平原にあってパルミジャーノ・レジャーノという産地ブランドチーズの認証への信頼性確保のための管理システム、酪農協と農家のそれに応える品質管理・検査システムの実際を検証することができた。
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