2003 Fiscal Year Annual Research Report
離島・半島地域におけるエコミュニティー社会の創造に関する学際的研究
Project/Area Number |
13460101
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大西 緝 鹿児島大学, 農学部, 教授 (70274834)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 嘉延 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (40117495)
秋山 邦裕 鹿児島大学, 農学部, 教授 (20167852)
岩本 泉 鹿児島大学, 農学部, 教授 (10193773)
枚田 邦宏 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (50222245)
島 秀典 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (00253914)
|
Keywords | 離島・半島地域 / エコミュニティー社会 / 過疎化・高齢化 / 経済 / 環境 / 生活 |
Research Abstract |
本研究は,鹿児島県下の離島・半島地域の農山漁村において過疎化・高齢化等によってコミュニティーが崩壊することが予想される地域を対象として,農業,林業,水産業,農村に関する経済学,社会学,教育学,政策論等の各分野の専門家による学際的な共同研究によって,経済,環境,生活の3つが調和し自立できるエコミュニティー社会の自生モデルを創造するための条件,プロセス,メカニズムを明らかにすることが目的であった。 今年度においては,これまで本研究の一環として実施してきた関連事例(鹿児島県笠沙町、和泊町、知名町、名瀬市、長崎県対馬島、北海道栗山町、韓国済州道など)の調査結果が取りまとめられた。取りまとめにあたっては、地域共同体の維持・存続に成功した県内の先進事例において、これまでの地域づくりへの歩みを整理することに重点をおいて取り組んだ。そして、そのプロセスをめぐって、研究メンバーらが議論を積み重ねる中で、以下のことがまとめられた。 第一に、どの事例においても、地域づくりのあり方を探る中で、「経済」、「環境」、「生活」という三つが同時に考慮されており、これらが調和をなしたエコミュニティー社会の創造が目指されている。 第二に、エコミュニティー社会の実現プロセスを見ると、地域のもつ資源を農業、林業、水産業の中で総体的に活用することが、エコミュニティー社会創造の前提条件となっている。 第三に、「経済」、「環境」、「生活」の各々が均衡のとれたエコミュニティー社会を創造するためには、「地域社会の伝統文化の次世代への継承」、「環境保全意識を促す教育活動」、「経済活動を支援する公的・私的組織」、「合意形成のための話し合い」などは、欠かせない。 第四に、離島・半島におけるエコミュニティー社会は、開かれた社会であることを認識する必要がある。離島・半島地域は、海に囲まれた閉鎖系の社会として考えられがちであるが、海道の利用という側面を考慮すれば、広く世界につながり、また世界を繋げる開放系の社会でもある。長崎県の対馬島や韓国の済洲島においては、東北アジアの拠点たつ立地的特徴を生かすべく、国境を越えた文化及び経済交流が活発化しつつある。
|