2001 Fiscal Year Annual Research Report
海洋深層水の冷熱利用システムの開発と農業プロセスへの応用に関する研究
Project/Area Number |
13460111
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
松岡 孝尚 高知大学, 農学部, 教授 (70036739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 樹代史 高知大学, 農学部, 講師 (80253342)
河野 俊夫 高知大学, 農学部, 助教授 (60224812)
石川 勝美 高知大学, 農学部, 教授 (20117419)
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Keywords | 海洋深層水 / 冷熱利用 / 熱交換システム / 省エネルギー / 養液栽培システム / 高糖度トマト / 農産物貯蔵 / 脱塩深層水の機能性 |
Research Abstract |
本研究は,海洋深層水冷熱の多目的,多段階利用の一環として,農業プロセスヘ利用するための熱交換システムの開発と施設園芸及び農産物貯蔵へ応用するためのシステム開発を目的として,基礎研究及び実用化研究を行うものである. 本年度に得られた研究成果の概要は以下の通りである. (1)海洋深層水冷熱を夏期の養液栽培及び農産物貯蔵のための熱交換システムとして,チタン製復流式熱交換器及びプラスチックチューブ循環方式について,エネルギー評価を行った.夏期高温時の熱負荷と熱交換器の交換熱量から,深層水を用いた場合,冷凍機を使用したときに比べて石油換算で84%〜86%の削減になることを明らかにした. (2)深層水冷熱を利用したNFT水耕栽培システムにより,夏期におけるホウレンソウの栽培実験を行った結果,対照区に比べてきわめて生育が良いことを実証した.また,深層水冷熱利用の貯蔵庫を開発し,熱交換特性を調べるとともに,現在ショウガの貯蔵実験を継続中である. (3)深層水の多段階利用の一環として,冷熱エネルギー利用後の深層水を高品質トマト生産へ応用するための基礎実験を実施し下記の成果を得た.(1)トマト果実肥大期に短期間(2週間)だけ深層水塩を施用することによって,植物体に充分な浸透圧調節機能を発現させ,果実への乾物集積を促進し,果実の乾物率,糖度,酸度および各種の元素濃度を著しく高めることができた.(2)深層水塩の施用を果実肥大期の短期間に限定することによって収量の低下および尻腐れの発症を抑制できた.(3)果実への師管および道管経由の物質集積量の評価法を確立し,深層水の施用効果の定量的解析を可能にした. (4)イオンクロマトグラフ法による定量分析の結果,脱塩深層水は蒸留水に比べイオン総量は微増(平均して10ppm)しており,両者に濃度変化が見られた.また粘度は蒸留水(0.998mPa.s)に比べ,脱塩深層では0.03mPa.s程低下した.これより脱塩深層水では水の分子間力は相対的に低下することが判明した.
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